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変身を知る

休日の朝、超英雄タイムな番組を観ていたユウがポツリと呟く。


「変身っていいよね」


その横でコーヒーを啜っていたマオは唐突な呟きに胡乱げな視線を返す。


その視線を知ってか知らずか……ユウは話を続ける。


「一般人が戦うための姿に変わって超人になる。

さらにその衣装はヒーローだったら格好良く、ヒロインなら可愛くなるんだもんね」


そんな事を話すユウに対してマオは何か言いたげな目線を送る。


「何か言いたいことあるって目をしてるけど……なに?」


「言いたい事は分かるのじゃが……ユウは似たような事が出来るであろう?」


「……ああ!

換装魔法のこと?」


「それじゃよ。

何やら装備を属性毎に取り揃えておって、瞬時に望む装備に変えられる魔法があるのじゃろ?

四天王たちが直ぐに半減・無効・吸収の装備に変えてきて狡いと言っておったぞ」


マオの説明の通りに、ユウが使える魔法の中には瞬時の装備を着替えるという魔法があった。


大きな袋に魔法が展開されており、そのゲートを通じて装備を入れ替える、地味ながら勇者の中でも1、2を争うほどに強力な魔法である。


「あれってほら……宇宙の刑事であって変身じゃないと思うんだよね」


「蒸着っぽくはあるのう。

しかし、装備品のバフも付いて能力も大幅に上がるのじゃから変身の一種ではあるじゃろう」


「言われれば確かに変身な気もしてきたけど……それならマオの大人変化の方が変身でしょ?

衣装も魔王時代の物に変わるし」


「あれは服装を魔力で再現しておるだけじゃから如何様にも変えれるのじゃがな」


マオの言葉通り、くじよじの大人組との飲み会の時はその場所にあった服装に変えている……のだが。


「つまりボディペイントみたいなもの?」


「ちゃんと実体はあるわ!」


「ははは、冗談冗談。

そもそも大人マオともしょっちゅう出かけてるんだから解ってるよ」


「全く……しかし、変身物のう。

確か巫女先輩も最近変身系にハマっておると言っておった気がするのじゃが……」


「あ〜それって絶対にあっち方面でしょ?」


2人の先輩である神使巫女は常にギリギリの放送をしているVの配信者である。


その彼女が好きな系統ということは間違いなくあちら側の話なのであろう。


「じゃが、どのようなものがあるか少し気にならぬか?」


「確かに気にはなるかなぁ……ちょっとコラボしてオススメの作品とか聞いてみようか」


「うむ、掘り出し物があるかもしれぬしのう」


こうして急遽決まったコラボ企画はすぐに了解を得て告知される事になったのであった。

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