映画を観に行こう 1
平日の昼間、ユウとマオの2人は映画を鑑賞しに行く為にお台場にやってきていた。
本日の2人のファッションは、マオはいつも通りにデカデカと英字がプリントとされたピンク色のシャツにショートパンツ。
そこにシャツのピンク色が透けるくらいに薄く白いパーカーを羽織った、生意気なお子様コーデである。
一方のユウはというと、白いシャツにデニムのミニスカート。
上にはフライトジャケットを着込んでおり、今の季節にはやや暑そうである。
「今日は本当にその姿で大丈夫なのかえ?
気温、まだまだ暑くなりそうじゃが」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ。
暑くなったら脱ぐから。
それよりも……ジャジャーン!!」
そう言ってマオの方を振り向いたユウの顔にはかなりゴツいサングラス。
「その格好で何の映画観に行くのかバレバレじゃな」
「まぁね〜これでシン、とか観に行ってたら驚きだと思うよ」
話しながら下のエスカレーターに乗ると映画館が見えてくる。
2人はそのまま発券機の前まで行って会員カードを読み込ませる。
カードから顧客と予約の状況を読み取った発券機は、すぐに2人が望んでいる映画の鑑賞券を吐き出した。
「スクリーンXが2枚で間違いなしっと」
「4DXも気になるのじゃが、今日はこちらじゃな」
今回2人が4DXの席を取らなかった事には複数の理由があった。
先ず第一に想像を絶するレベルで激しく動くことが予想できたからだ。
第二に大空を駆けるシーンは前方270°のスクリーンで、見たほうが迫力があるだろうと結論づけられたのだ。
最後にこれが1番の理由なのだが4DXには吹き替えしかなかったのだ。
実は2人は過去に同じように吹き替えしかない4DXの映画を観ていたのだが、主人公に声優ではなく芸能人を起用した結果、大根演技によって全てのシーンを台無しにされている経験があった。
そのために洋画の吹き替えを観る事に強い抵抗感を持つようになってしまったのである。
「本当にあの時の黒い男最新作は酷かったよね」
「いい加減、このような仕事は本業に任せてもらいたいものじゃな」
「話題作りなんだろうけど、それで映画の内容が台無しになるなら本末転倒だよ」
「まぁまぁ、今回は字幕じゃから安心して観ようではないか」
「そうだね〜さぁ、楽しむぞ!」
こうしてドリンクとポップコーンを買った2人は意気揚々と劇場内に入っていくのであった。
本当に芸能人を声優に起用するのやめてほしいものですね。
個人の感想です。




