音楽祭の打ち上げ 2
今回は最近見なくなったあの人についての話があります。
誤字報告受け付けました。
いつもありがとうございます。
「おつかれさま、今回……だけじゃなくて本当にいつも助けられてるわ」
「いえいえ、こちらこそ急な引退だったのに対応して頂いて感謝してますよ」
打ち上げ会の一角では里中とルーナがお互いを労ってグラスを傾けていた。
「正直な話、規模が大きくなってきている時に唯が辞めてしまったから、引退してマネージャー業に専念してくれてるのが本当に助かってるのよ。
今の内部事情だと他所から探すの中々難しいじゃない?」
「それは……そうですね。
殆ど私達のせいではありますけど」
そう言って向けた視線の先ではユウやマオ、更には談笑する神々の姿があった。
「配信スケジュール自体は慣れてきたら自己で管理してもらって大丈夫なんだけど、コラボや案件には目を通さなくちゃいけないのよね」
「最悪、私や修羅が今のルーナさんみたいな立場になるという話も上がってたんだけどね」
「お疲れ様です」
「あら、アマちゃんに修羅ちゃんじゃない。
楽しんでる?」
話に割り込んできたのは、くじよじで最も古い2人、天照子と北乃修羅の2人であった。
「勿論楽しんでるわ。
そんな時に私達に関わる話が聞こえてきたからやってきたのよ」
「私が引退してマネージャーになってなかったらお二人が辞めるかもしれなかったんですか?」
「まだ可能性の話だったんだけどね。
私たちはこの会社にお世話になってて本当に感謝してるから、ピンチなら配信回数減らすか引退するかしてマネージャー業に専念するって話があがってたのよ」
「正直な話、これから先を引っ張っていくのは私達ではなく、ユウちゃんとマオちゃんの方が相応しいですからね。
それなら、役目を譲って会社に恩返しした方がいいかと」
そう楽しげに話す2人だったが、その話を聞くと里中は途端に顔を顰めた。
「そんな気遣い要らないって言ったのよ。
貴方達2人は本当に配信が好きでやってるのに、会社の為にその楽しみは奪えないわよ」
「私たちは同じくらい会社も配信も大事だって話すのに聞かないのよ、この社長」
「それで話し合いが難航していた時にルーナちゃんの話が出てきたのです」
「ルーナちゃんの場合は上の世界の事情だからどうにも出来なかったから仕方なかったの。
それでも、裏方で手伝ってくれるって話してくれたのは、ありがたかったし本当に助かったわ」
「その話をした上で安心して配信に専念しなさい!……って言われちゃったらねぇ。
だから、ルーナさんには本当に感謝してるわ」
「ほんなごつ感謝しとったい」
「照れるからって方言はやめなさいよ」
急に博多弁でお礼を言う修羅にアマのツッコミが入って場の笑いを誘った。
ひとしきり笑った後でふと気になったルーナが里中に質問をする。
「そう言えば唯さんってどうして辞めてしまったんですか?」
「あ、私達も聞きそびれてた」
「私もですね。
どうしたんですか?」
「あら、知らなかったかしら?
あの子は結婚して妊娠したのよ」
サラッと言う里中であったが、余りにも意外な答えに3人が一斉に固まった。
そして……
『ええええええええええ!?』
驚きの絶叫と共に再起動したのであった。




