ライブに向けて ダンスレッスン編 1
「それじゃ、今日はダンスレッスンをするわよ」
くじよじ本社にあるスタジオに集まったのはユウとマオを始めとして、蝶子、姫花、ナコ、八起子、ハニーと言う面子であった。
この7人で歌う曲があるので、その振り付けの練習を行う予定である。
「私は表舞台から引いたのでサポートで来ております。
そして、こちらが私が連れてきましたダンスの先生です」
「私の事はアメちゃん先生と呼んでください」
サングラスで顔を隠したスーツ姿の女性はそう言って挨拶をすると、その流れから早速振り付けの練習を始めた。
アメちゃん先生は非常に教え方が上手く、見本の踊りも優雅であり、何処がポイントとなるかを事細かく指摘していく。
振り付けに自信がなくて不安に思っていた八起子や姫花も驚くほどに上達していき、安心してレッスンを受けていた。
「これは良い講師に恵まれたのう」
「うん、とっても助かる。
助かるんだけど……」
「言いたい事は分かるのじゃ……アメちゃん先生とはのう」
早いうちに動きをマスターした2人は休憩しながらレッスンを見る。
そこではアメちゃん先生に付きっきりで教わる八起子と姫花の姿があった。
「いいですよ〜このレベルに達したなら思わず天照様も天岩戸から出てきてしまうでしょう」
「その例えはよく分からないですが上達しているという事でしょうか?」
「ええ、バッチリですよ。
これならば世界に日をもたらす事も容易いでしょう」
そう言って2人を褒めるアメちゃん先生を見ながらマオはルーナに問いかけた。
「さて、何か説明することがあるのではないかのう?」
「いえ……その……割と皆さん見てらっしゃるんですよ?
この活動のこと」
そう言いながらルーナは上の方を指さした。
「つまり……あの方はその関係の方という事ですよね?
口ぶりから察するにアメノウズメ様でしょうか?」
ふと後ろから聞こえた声に振り向くとそこには蝶子が立っていた。
蝶子は椅子を持って3人の側に座ると、テーブルの上にお菓子を置いた。
「これ、糖分補給用にって思ったので皆さんでどうぞ。
……それで、話の続きなんですけど、あの方は本物なんですかね?」
「ええっと……」
困ったような表情でユウとマオを見るルーナであるが、2人は首を振って拒否する。
「今更隠しても仕方なかろう」
「ここはそういう所だって分かってるから言っちゃっていいんじゃない」
「それもそうでしたね……御察しの通りに彼女はアメノウズメ。
天照を天岩戸から出す為の踊りを舞ったと言われる女神です」




