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爆発は春の季語 1

作者が観た映画の感想回です。

今年も爆発しました。


2022/04/23 誤字報告受け付けました。

いつもありがとうございます。

「最近の気温の変化にはついていけないね。

どんな服着ていけば分からないよ」


マオと並びながら歩くユウは着ていたパーカーを脱いで腰に巻きつける。


三寒四温とは良く言ったもので、暑い日と寒い日が変わるがわるやってくる春の日、2人は外にお出かけしていた。


「そう言うのであれば温度耐性を上げれば良いのではないか?

それなら好きな格好ができるじゃろう」


「それだと風情が無いし周りから違和感感じられるかもしれないしね。

ファッションに特別興味があるわけじゃ無いけど周りから浮いてないってのは大事だと思うよ」


「それは妾に対する嫌味かのう」


「似合ってなければ嫌味かもしれないね。

でも、最高に似合ってて可愛いから問題ナッシング!」


そう言うマオの格好は以前ホテルビッフェを食べに行った時に着た黒いゴシック調のドレスである。


魔力で銀髪に染め上げた髪と燃えるように赤い瞳、そして幼子の姿でありながら日傘を指すその姿は、古から伝わる吸血鬼のようであった。


「似合っているなら良いじゃろう。

今日は長年待ち続けたあの方に会えるのじゃからの。

めかし込んできてしまったわ」


マオは以前、探偵をやっている昔のドラマにハマっていた。


そして今から映画を観に行くのだが、その映画にはマオがハマった俳優と役所をモデルにしたキャラクターが出ていた。


だが、そのキャラクターはゲスト参戦だったのであろうか。


本編開始時に既に死んでおり、原作にも話題になる事はあってもほんの少ししか出番がないと言う設定だったのだ。


更にはそのキャラクターの同僚も全て死亡しており、生き残っているのは1人だけ。


つまり、その残った1人を際立たせる為の犠牲として扱われたのである。


しかし、ハードボイルドキャラだったマオの推しは、僅かな出番で多くの女性ファンの心を掴んだ。


そして今回メインキャラに抜擢されたと言う事でマオはワクワクしていたのだ。


「毎年恒例の映画だけど今年は楽しみが増えて良かったね」


「うむ……楽しみじゃのう」


映画館に着いた2人は予め予約していたチケットを発券する。


ネット社会の今ではスマホで予約購入し、現地で発券というのがスムーズなチケット購入方法だと言えるだろう。


2人が購入した席は体感型アトラクション風である4DXの席である。


この映画は最後に毎回ド派手な爆発が起こる事で有名で、その時の揺れはムチウチになるのではという程に激しい。


シアタールームに入る前にジュースを買って準備万端の2人は、これから起こる揺れと推しに期待しながら席に着くのであった。

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