エイプリルフール 2年目
スパイ:ミッションの途中ではありますが、エイプリルフール番外編です。
2022/04/02 誤字報告受け付けました。
いつもありがとうございます。
「向こう側との繋がりが途切れました」
ある日、ユウとマオの家にやってきたルーナがそんな事を言い出した。
「えっと……向こう側って元は僕たちがいた世界の事?」
「そうです」
「それで何か困る事があるのかのう?」
「え?意外と無反応?」
ユウとマオからすれば、とうの昔に帰らぬと決めた故郷である。
その世界との繋がりが無くなったところで困る事は特に無いと言った様子だ。
「えーっと……あ、アレですよ!
魔力が来なくなるのでマオが体内に保有している分が無くなったらおしまいです。
もう二度と大人の姿に戻れません」
「それって僕たちがこの世界に来た時の状況に戻るって事だよね。
マオはそれで何か困る?」
「いや〜外に飲みに行くのが難しくなるが特には困らぬのでは無いか?
今の状況が出来過ぎなだけじゃったからのう。
元よりユウと共にこの世界で生きていくと決めておったわけじゃからな」
全く動揺する素振りのない2人にルーナは思いっきり溜息を吐いた。
「はぁ〜〜〜全く……騙し甲斐の無い人達ですね。
今日は何の日か分かりませんか?」
「何の日って……あ!
4月1日だからエイプリルフール!!」
「何じゃ、それでは向こうの世界との線が途切れたというのは嘘じゃったか」
「そういう事ですよ。
それなのにお二人とも全く焦らずに受け入れてしまうんですから」
そう言いながら拗ねたように顔を背けるルーナに対して、2人は呆れた顔で返答をする。
「僕たちは向こうの世界でやれることは殆ど全部やっちゃったからね。
結果的にだけどあの世界から魔王がいなくなった事で勇者の役目は終えているし」
「妾も魔国を発展させ、魔王がいなくても運営できる国づくりを終えてしまったからのう。
何も思い残すことはないのじゃよ」
「それなら仕方ありませんね。
軽いジョークで場を和ませてからこの話をしたかったのですが……」
「まだ何かあるの?」
「私はVの世界を引退して裏方に回ろうかと」
「は?まさか二段構えで嘘を用意しているとは思わなかったけど、流石にネタバレの後は騙されないよ」
「うむ、流石にのう……」
そう答えて笑い飛ばそうとする2人だったがルーナの顔は至って真面目であった。
「残念ながら今回の話は本当の事です。
前に私もあちらの本体と分離してしまったと話しましたよね?」
「確かにそう言う話をしたのう」
「それでこちらの神界のお友達から神の一柱にならないかと打診されたのです。
悩んだ末に受けることにしたのですが、Vの身体とはいえ神が長期間に渡って顕現している状況は不味いそうなのです」
「うーん、でもゼウス様のチャンネルとかあるよね」
以前地上の女性にちょっかいを出すためにチャンネルを作って登録したのは知っていたユウが疑問の声をあげる。
「ゼウス様の目的は出会いですからね。
その下心の丸見えなチャンネルは閲覧者も登録者もおらず、そもそも収益化も降りていないので放置で良いと。
しかし、私はくじよじのお陰でチャンネルが好調なので無視できない規模になっていたのでしょうね」
「うーん、でも寂しくなるなぁ」
「引退すると言っても私達の関係は変わりませんし、まだ先のことですから。
それにくじよじの裏方としてお手伝いするので寂しさは一瞬だけですよ」
「うむ、それならば妾達も祝福しようではないか。
ルーナの新たな旅立ちに!」
「それなら僕からも。
そしてこれからもよろしくね」
こうしてエイプリルフールから新しい関係が築かれつつも変わらない関係を喜ぶ3人であった。
皆様のおかげでブックマーク1000件達成する事が出来ました。
一気に剥がれて嘘にならないようにこれからも頑張って書いていきますので、よろしくお願いします。




