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#ホラー系TRPG回 ドラマポート 14

「は、はは……焦ったがどうやら私への攻撃手段は無くしたらしいな」


「銃の弾が無いならそれでいいわよ。

この化け物の後で私が蹴り砕いてあげるから」


「ひぃ!?

む、む、む、ムーンビースト!

なるべく長くそいつらの足止めをするんだ」


ムーンビーストへ指示を出した後で1人逃げ出そうとする岡崎。


「何か手は……あっ!?

オリー、銀の弾丸!」


「そう言えばそんな物持ってたネ!

リロードするヨ」


「どうやらそっちは任せて良さそうね。

私はこいつに止めを刺す!!」


そう言ってムーンビーストへと駆け出したまゆは身体を捻り、全身の力を右足に乗せた蹴りを放つ。


その一撃はムーンビーストの巨体を正確に捉えて吹き飛ばしていった。


吹き飛ばされた先でピクリとも動かなくなったムーンビーストの身体は、まるで最初からそこに何も無かったかのように消えていった。


「オッケー!

リロード完了ヨ。

これでフィニッシュね」


オリーはそう言って未だもたつきながら逃げようとしている最中の岡崎に向かって発砲する。


銃弾は真っ直ぐに岡崎へと向かっていきバリアにぶつかる。


その瞬間に岡崎を覆っていたバリアが粉々に砕け散り、岡崎の身体が糸の切れた人形のように倒れて動かなくなった。


「え?銃の弾当たっちゃったの?」


敵対していた相手とはいえ人が撃たれたかもしれない現場を見て軽く動揺するまゆ。


「いや、多分銃のせいじゃ無いと思う」


そう言いながらゆうまは岡崎に近付いてその身体を調べた。


身体の何処にも外傷はない。


ただ、精神が衰弱して意識を保てなくなったようだ。


これが人ならざる力を使うことへの代償なのだろう。


3人はようやく終わったと息を撫で下ろす……しかし、そこに拍手をしながら近づいてくる人物が現れた事で身構えた。


その人物は岡崎の秘書を務めていた月穂であった。


「素晴らしいものを見せていただきました。

水晶玉の特性を瞬時に理解して逆に利用する機転。

人の身でありながらムーンビーストを圧倒する力。

家族と仲間の為に躊躇なく人に銃を向ける胆力。

まさかこんな辺鄙な地でこれほどの見世物に出会えるとは」


「それで今度は貴女が相手っていうわけ?」


「待って、姉さん!」


そう言いながら構えるまゆをゆうまが全力で止める。


「岡崎教授やさっきの化け物とは全然違う。

この人には絶対に手を出しちゃいけない」


「全く……ゆうまさんの機転には脱帽ですね。

素晴らしいものを見せてくれたお礼に何か一つくらいはご褒美をあげましょうか?」


「それならオリーの父親を戻してくれませんか?

月穂さんなら簡単に出来ると思うんですけど」


「出来ますが……若干足りませんね」


「それならこの水晶玉を持っていってください。

これでどうです?」


「ふむ……まぁ、いいでしょう。

それでは皆さん、また会えるといいですね。

……そうそう。

そちらの狼さんがこちらに来る時に乗っていた車を完璧に整えた状態で外に置いています。

彼が戻ったら使っていくといいでしょう」


そう言って3人に軽く会釈をすると月穂の姿は消えてしまった。


それと同時に狼の身体が光に包まれ、そこから屈強なアメリカ人男性が現れた。


「ダディ!!」


「オリー!

ただいま、そしてありがとう」


そう言って抱き合う2人の姿に思わず涙するゆうまとまゆ。


その後、岡崎を縛り上げて車の荷台に放り込む。


こうして3人は悪夢のような館を無事に脱出して当初の目的であるオリーの父親の救出を果たしたのであった。


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