ホラー系TRPG回 ドラマパート 3
休日に岡崎教授の元へ向かうことにした3人であったが、時間に余裕があった為に入念な準備を行うことにした。
「先ず最初に決めておきたいんだけど、教授の元に行くとして名目をどうするかってことよね」
「ダディを探しにきたじゃダメね?」
「お父さんは岡崎教授の所に行くって話なのに連絡が付かないんだよね?
そんな普通じゃない事が起きているのに教授から何の連絡もないのはおかしいと思うのよ。
だから、オリーのお父さんを探しに来たっていう目的は隠しておいた方がいい気がするの」
「それならちょっと待って」
まゆの意見を聞いたゆうまが部室の奥を漁り始めた。
それほどの時間を置かずにゆうまはその手に水晶の球を持って現れた。
「岡崎教授はオカルトグッズを求めてるから、僕の秘蔵品である水晶球を持っていこう。
これ高かったんだよねぇ」
「またお小遣いで下らない物を買って……って言いたい所だけど、今回はその悪癖が役に立ちそうだから大目に見てあげるわ」
「2人とも……本当にサンキューね!
必ずダディを見つけてみせるヨ!!」
こうしてゆうまが持ち出した水晶球をネタに岡崎教授に連絡すると、秘書らしき女性からあっさりとアポイントを取り付けることに成功した。
ここまでトントン拍子に進んだ3人は一応という事でデパートにて更なる準備を整える。
「僕は救急箱の中身の補充をしておこうかな」
「私も救急スプレーみたいなの買っておこうかしら」
「私はマイハウスで準備しマース!
ダディのピンチなら絶対に必要になる物がある筈デース」
こうして万全の準備を整えた3人は次の日、電車を使って指定された駅に向かった。
駅は明らかな田舎町にあったのだが、この場に似つかわしくない高級そうな車がそこに停まっていた。
3人が駅を出るとその車の前にいたスーツ姿の女性が近づいてくる。
「ゆうま様、まゆ様、オリー様ですね?
私、岡崎の秘書を務めている月穂と申します」
女性はオリー以上にスタイル抜群の美人であり、その完璧な外見故に作り物なのではと疑ってしまいたくなる程であった。
「………ああ、ごめんなさい。
私は猪飼まゆで、こちらが弟の猪飼ゆうまです。
それと、同じオカルト部の仲間でオリー・ビー。
今日はよろしくお願いします」
「よ、よろしくお願いします」
「よろしくネ!」
「丁寧な挨拶ありがとうございます。
岡崎の研究所はここから離れた場所にあるので送迎させていただきますね。
どうぞ、この車にお乗りください」
そう言いながら月穂は車のドアを開けた。
オリーが助手席、猪飼姉弟が後ろの席に乗り込んで車は出発した。
彼らの待ち受ける奇妙な体験を予感させるかのように、クルマが進む先には黒い雲が見え始めていた。




