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ユウとマオのスパデート その後

「いや〜良いお湯だったね!」


「うむ、サムネ作りで固まった身体がすっかり解れたようじゃ」


スパを心ゆくまで堪能した2人は送迎のバスの中でのんびりとお喋りしていた。


「こっちに来てからゆったりお風呂に入るって経験したけど一度これ覚えちゃうと浄化の魔法とかじゃ満足出来なくなるよね」


「身体を一瞬で綺麗にするから便利なのじゃがなぁ……湯に浸かるという満足感には敵わんな」


「山奥の方にある村にお風呂が名物って所もあったんだけどね。

あそこは蒸し風呂でお湯に入るわけじゃ無かったからなぁ……でも、あの辺りも掘ったら温泉とか出たりして?」


ユウはかつての冒険で立ち寄った村を思い出していた。


その村は火山の近くに作られており、その地熱を利用した蒸し風呂を名物としていた。


当時は折角だからと入っていき満足した記憶があるのだが、こちらの世界の充実度を知った今となっては当時のような満足感は得られないだろう。


「こちらの世界の洗練された技術や手法を持ち込めばかなり発展させる事は容易いじゃろうな。

それこそ、小説やら漫画・アニメでもそのような作品は多いじゃろう」


「確かにいっぱいあるね。

特に料理や娯楽知識で無双なんてよく見る気がする」


「やはり人間は成長過程というものに喜びを見出すものじゃからな。

この現代の技術がどれだけ凄いかという事に誇らしい気持ちも持てて二重に面白いと感じてしまうのじゃろうな」


「ストレスフリーな作品は読みやすくもあるしね。

重たい作品読んで落ち込んで引きずる人もいる事考えると、こういうのが流行るってのも分かる気がするよ」


「まぁ、異世界からやってきた妾達がストレスフリーな生活をしておるからとやかくは言えんのかもしれんのじゃがな」


「それはそう!

ほんと、この世界に来てから楽しいことばっかりだよ」


そう言って2人が笑い合った辺りで送迎バスは目的の駅へと到着する。


「ありがとうございます」


「いつも助かるのじゃ」


運転手さんにお礼を言いながら2人はバスを降りる。


「あ、そうだ。

ちょっとコンビニ寄って良い?」


「うむ、妾もちょっと寄りたい気分じゃったので構わぬぞ」


2人は駅のすぐ下にあったコンビニへと入っていく。


「トゥルトゥルトゥルン、トゥルトゥルトゥン……なんかこの音楽って耳に残るよね」


「コンビニ各社の中でここだけ特徴的なメロディーが流れるのう」


「なんか耳に残るよね……っと、あったあった!

ほら、これ」


ユウが探して取り出したお菓子のパッケージには見覚えのある人物が載っていた。


「このお菓子ってコラボで姫花ちゃんと蝶子さんが載ってるんだよ」


「そういえばコラボ商品が出るという話じゃったのう。

もう発売しておったのか」


「これと合いそうなジュース買って帰ろう」


「そうじゃな……折角じゃからここにある分全て買っていくかのう」


「ありあっっっしたぁぁぁ!!」


こうしてビニール袋いっぱいにお菓子を抱えて帰る事になった2人なのだが……


「ねえ、今の店員さんなんて言ってた?」


「ありがとうございました……と言っていたと思いたい所じゃが滑舌が悪くてのう」


「僕、アランさんが不在でしたって聞こえたんだけど」


「ぶふっ……そ、そんなことあるわけないじゃろ」


笑いながら否定しつつも思い返してみると段々とそんな気がしてくる。


「また暇な時に行って確かめてみようよ」


「そ、そうじゃな。

案外本当にそう言っておるかもしれぬし」


こうして駅前に新たな楽しみを見つけ出しつつ2人は楽しく帰路に着いたのであった。

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