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樹木の山と妖怪の里 11

仕事と暁月とウマの娘で大忙しです。

「ああ……そういうことか!」


腕を組んで悩んでいた2人だがユウの方がポンと手を叩いた。


「え?ユウさん分かったの?」


「その低位の神様ってのは自分の位を上げるだけの力が欲しいんだよ。

で、その力ってそこに見えてるじゃない?」


「……ああ、樹木子の事か!」


「正解!

で、僕の経験だとこういう時って大抵……」


「ふはははは!

手に入れた……遂に手に入れたぞ!!」


ユウの言葉を遮って山中に声が響き渡り地響きが鳴り響く。


更に地面から巨大な根が雨後の筍のようにズンズンと生えてきていた。


「もう手遅れって言おうとしたんだけど、予想通りだったね」


この世の地獄のような光景を背景にユウはやれやれと首を振るのであった。


♢ ♢ ♢


(これは一体何事だい?)


「鶴吉!目が覚めたのかい?」


(ああ……おいらの身体が何者かに奪われる感覚がして目を覚ましたらご覧の有様だよ)


「私も状況がわかってないけど、どうやら何者かのあんたの身体を奪われたらしいね。

こうならならないようにこの土地を切り離したってのに……やっぱり神魔ってのは油断ならないね」


(てやんでい!

奪われたなら奪い返せばいいだけよ。

行くぜ、おカメ!)


「だーかーらー私はカメじゃないって何度言えば分かるの!!

カコだって言ってるでしょ」


(何言ってやがんでい!

自分の名前が気に入らないからって亀子を縮めてカコだなんて洒落せえ。

親から貰った名前を大事にしやがれ)


「うるさいわね!

今時に亀子なんて流行らないダサい名前嫌いに決まってるでしょ。

それでも縮めて使っているだけ感謝して欲しいくらいだわ。

そんな事よりサッサとあんたの身体、取り戻しに行くわよ」


(おうよ!頼んだぜ!!)


♢ ♢ ♢


「やれやれ無粋な輩のお出ましだよ」


「本体を地主さまと協力者様にお任せすれば良いでしょうが……気絶している住人たちを放っておく訳にもいきませんね」


シロとクロは未だ気絶して積み上げられている妖怪達を見る。


かなり手痛くやられているのか目を覚ます気配がない。


「仕方ない……少しだけ本来の姿に戻るとしようか」


「やむを得ませんね」


そうして2人の猫又が向かい合わせになって両方の掌を合わせる。


瞬間、その場所から猛烈な光が溢れて現れたのは人間を丸呑み出来そうなほど巨大な猫であった。


「にゃあああああ!!」


巨大な猫は一鳴きすると山積みになった妖怪に伸びてくる根っこをパンチで追い払う。


この時、朧気ながら目を覚ましていた妖怪がいたのだが後にこう証言している。


自分達を守っているのは分かるのだが、その様は無数の猫じゃらしと遊んでいるようだったと。



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