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樹木の山と妖怪の里 10

「あ〜あ、やられた!やられた!

あれで本気じゃないってユウさん強すぎるでしょ」


「カザもまだ奥の手は残してるんでしょ?」


「いや〜そっちは僕の力じゃないっていうか。

正直あまり使いたくはないんだよね」


マオ達が自分たちの情報のすり合わせをしていたところで、外で派手にやり合っていた2人が戻ってきた。


派手にやり合ったというと聞こえが悪いが、実力はユウの方が遥かに上だったので稽古をつけいてる形になっていたようだが。


その過程によって2人には信頼関係が構築されていたようである。


「そちらの話は終わったようじゃな。

こちらも今しがた情報の交換が終わったところじゃよ」


「交換と言っても小生達の方は碌な情報を掴んでいないので依頼主に関わることだけでしたよ」


「今回の騒動、元はそこが発端じゃからな。

妾達はそちらの情報を持っておらなんだので助かったのじゃ」


「なに?その依頼主って」


マオとバドの会話で気になったワードにユウが質問をする。


「小生達は妖関連のトラブルを引き受けるチームなのですが、依頼主は人間から神魔まで様々であります。

とは言え神魔関係の依頼など滅多に来るものでは無いのですが……」


「今回はその関係の依頼だったってこと?」


「そういうことじゃな。

バドの言う話では神の一柱を名乗る者から今回の依頼があったようじゃ。

この辺りはルーナの話にもあったはずじゃな」


「確か、今回の異変に気付いたのがその神様だったんだっけ?

それでルーナに話が来て尚且つその神様の方でも調査チームを派遣するってことだったよね」


ユウはここに来る前のことを思い出しながら意見を言う。


その言葉にマオは満足そうに頷いた。


「そういうことなのじゃが……妾はずっと疑問に思っておったのじゃ。

閉じられている世界というがルーナが力を行使すれば容易く入り込める。

更に各地から妖怪が続々逃げてマンションに住み着いているという話じゃから、妖はここへの侵入方法を確立しておる」


「今回のこの地はいわゆる神隠しと呼ばれる現象。

この山ごと小生らの世界からズラしただけであります。

現代では珍しい現象ですが小生達の妖ネットワークでは、そういう場所はここ以外に報告がされているでありますな」


「他にも同じような場所があるにも関わらず、この地をその神とやらが重要視しているのは何故なのか?

そこで一つ気になった話があるのじゃが、神魔関係で人間に依頼を持ってくるものは大概が神や悪魔でも低位の者達じゃそうな」


「正直な話、中位以上の神ならば人間達を気にする必要は無いでありますよ。

しかし、低位の者は少なからず信仰を集めておかねば消え去ってしまう可能性があるほどにか弱い存在です。

そこで自身の力の及ぶ範囲で奇跡を行なったり、人間にお告げをしたり依頼を行ったりして自分たちの格を上げようと躍起になっているであります」


「ここまで言えば今回の話が見えてくるのではないかのう?」


マオとバドの説明にユウとカザは腕を組んで考え始めた。


やはりこの2人は中々に似た者同士なのかもしれない。

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