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樹木の山と妖怪の里 8

「た、大変だ〜!!

か、カチコミが!?」


カコが話し始めたタイミングで縁側の方からどんどんと叩くような音が聞こえた。


そこでは背中に黒い翼の生えた赤ら顔の鼻が長い男性……烏天狗と呼ばれる妖怪がいた。


彼はまるで見えない壁を叩くように縁側の空間を何度も叩いていた。


「カチコミってどういう事よ?」


「人間の女四人組が結界を壊しながらやってきたもんだからマンションに住んでる妖怪総出で撃退しにいったんだが全員ボコボコにされてるんだよ。

もう地主様に頼るしかねぇんだ!」


「相手は人間でしょ?

私は嫌よ」


「そんなこと言わねえで何とかしてくだせえ」


泣きつく烏天狗を冷たくあしらうカコ。


一見すると冷徹なように見える彼女だが瞳の奥が揺らいでいるような気がする。


「ふむ……その相手は知らぬ訳ではないし妾達が相手をするとしよう」


「そうだね。

カコさんも相手をしないというよりは出来ないって雰囲気だし」


「な……別にそんなんじゃなくて私は妖怪連中なんて何とも思ってないだけで!」


ユウがそう言うとカコは明らかに動揺していた。


「え?でも、あんた達じゃ……」


「その人達なら心配いらないさ。

きっと上手くやってくれるよ」


「赤鼻さん、お二人に任せてみませんか?」


「姐さん達がそう言うなら……って、姉さん達は手伝ってくれねぇんですか?」


「ははは……無理無理。

その4人は間違いないならこの界隈で結構な有名人だよ。

こんな木端妖怪が相手になんてならないって」


「恥ずかしながら私も同意見です。

というわけでお二人に任せてよろしいでしょうか?」


シロとクロの言葉に2人は目を合わせてから頷く。


「もちろん!」


「妾達に任せておくのじゃ」


♢ ♢ ♢


マンションの前では気絶した様々な妖怪達が山のように積まれていた。


塗り壁にろくろっ首、カマイタチに人面犬に口裂け女。


外国の妖怪である吸血鬼に人狼にフランケンシュタイン、果てはモスマンやチュパカブラと言った妖怪かUMAなのかも曖昧な存在まで様々である。


「も〜僕たちは樹木子の本体が何処か聞きたいだけなんだから襲ってこなくてもいいじゃん」


「はぁ……骨が折れる任務とは聞いていたけど流石にこれは無いわよ」


「疲れた……帰りたい」


「小生は自作の図鑑作成が捗って満足ですぞ」


バットを持つボーイッシュな女性。


警棒を手に取って自身の肩をトントンと叩いているシスター。


コンバットスタイルで両手にエアガンを持った女性。


白衣を着て度の強そうな眼鏡をかけた手に何かの機械を持った女性。


最初の2人はユウとマオが森で遭遇した人物なので後の2人が隠れていた人物なのだろう。


そんな4人の前にユウとマオが歩み出ていく。


「うわぁ……こりゃ酷いや。

君たち、人の住処に来てこれだけ暴れるとかやりすぎじゃない?」


「ちょっと悪戯が過ぎるのではないかの?」

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