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樹木の山と妖怪の里 6

「詳しく話を聞かせてもらっても良いかな?」


「ユウ達はこの話の調査に来てるって話だったね。

はぁ〜あんまり話したくは無いけどしょうがないか。

状況としてもあまり良くないみたいだしね」


そう話すカコの言葉にシロとクロがうんうんと頷いていた。


「祖父からこの山を受け継いだ私は取り敢えず現地を見てみようと思ってここまでやってきたんだけど、最初は神社とも言えないボロボロの家屋と大樹しかない土地だった。

そこで私は鶴吉という14歳くらいの少年と出会ったんだけど、それが始まり」


「その人物の姿は見えぬようじゃが今も無事なのかえ?」


「元気かって聞かれると微妙かな……もう故人だし」


「それって……もう死んでるって事?」


「そういう事。

とは言っても最近とかじゃなくてかなり昔……江戸時代くらいの話だったらしいけど。

その辺りはあの2人の方が詳しいよ」


そう言いながらカコは縁側にいたシロとクロを招き入れた。


「おや、私達も中に入って良いのかな?」


「今のは許可を出したと受け取りますよ」


「この2人がいる中で悪さを出来るとは思わないから構わないわよ」


「では失礼」


「お邪魔します」


シロとクロが縁側から中に入ってきた瞬間、ユウ達は空気が割れるような音が聞こえた気がした。


世界の異なるものが現れた感覚と言えば良いのだろうか。


2人は彼女達が話していた招き入れるという言葉の意味を肌で感じていた。


「今のは?」


「ああ、2人も知っての通りにこの世界は神隠しに遭っている状態だ。

その中でこの神社だけは常世にあるのだよ。

だから私達のような怪異は家主の許可を経て常世に招き入れてもらわないと入れないんだよ」


「正攻法でなら……という注釈はつきますが。

現在の私達は地主様と良好な関係を保っていますので裏技を使う必要もありませんけど」


シロとクロの説明を聞いてユウは「なるほど」と呑気に答えていたのだが、マオにはある部分に引っ掛かりを感じた。


「現在の……という事は以前は良好な関係では無かったという事かのう?」


「そうだね。

この土地は私達のような怪異から見たらお宝のような場所なんだよ。

この土地の持ち主が若い女性に代わったと聞いて譲って貰えないかお願いに来たのさ」


「端的に言うと地上げですね。

最初はカコさんも乗り気だったのですが、この土地の真実を知って拒否されてしまいまして」


「それでつい力づくで奪おうとしたって話なだけさ。

……乱暴だと思うかい?

怪異と関わって乱暴で終わらない話の方が珍しいと思うがね」


「私はあの時の恨みをまだ忘れてないからね。

そもそもあんた達が余計なことをしなければ私がこの土地に縛られることもなかったってのに」


「お二人とも、話が逸れています。

もうそろそろ本筋に触れては如何でしょうか?」


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