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樹木山と妖怪の里 1

いつもの日常パートではなく、今回は長編ものです。

また、かなり実験的な試みをしていますがお付き合いしてくださると嬉しいです。


2022/09/13 誤字報告受け付けました。

いつもありがとうございます。

とある日のこと、ユウとマオの2人はルーナに呼び出されていた。


いつもならば2人の住む部屋にやってくるのだが、いつになく真剣な顔つきをしたルーナによって世界と世界をつなぐ狭間へと連れて行かれた。


「こんな所に呼び出してどうしたのさ?」


「他では出来ない話なのかのう?」


こちらでは平凡に暮らしているとはいえ元勇者と元魔王の2人はトラブルを感じとる嗅覚が強い。


この空間に呼び出された事と目の前で真剣な顔をしているルーナを見れば自ずと厄介事が起こっていると推測できた。


「お二人のご推察通りです。

こちらを見てください」


ルーナが示した方向には丸い球体が浮かんでいた。


完璧なまでに丸い球体……上も下も右も左も分からない不安定な狭間の世界において、これほどまでに安定した形のものは逆に不自然に感じる。


「これって一体何なの?」


「これは私たちがいる世界から切り取られた空間です」


「ふむ……つまり、この場所は元々は妾達のいる現代社会にあったが今は隔離されていると言うことかの?」


「理解が早くて助かります。

ここは本来は日本にある山だったのです。

しかし、何が理由かは分かりませんが世界から切り取られた結果、この場所には普通にしていては入る事も出る事も出来なくなっているのです」


「難しい話だけど何となくは分かった。

それで、僕たちが呼び出されたのはこの場所の調査って事かな?」


「その通りです。

それと同時に出来るのであれば原因の調査と解決を」


ルーナの言葉に2人は頭を捻った。


「解決とは何らかの要因を見つけたときにそれを排除しろと言うことかの?」


「いえ、完全に戻す必要はなく針で開けた程度でも良いので少しでも繋がらせてもらえれば問題ありません。

今のように完全に閉じられている事が問題になっていますので」


マオが発した疑問に対するルーナの解答から2人はある程度のことを察する事が出来た。


この事件は自然発生ではない事。


この事件の要因は何らかの生物が起こしたであろう事。


そして、この依頼はルーナとは別のところから来ていると言う事。


「今の話で大体分かったけど調査するのって僕たちだけ?」


「いえ……他の神様もこのような事件の専門家に心当たりがあるらしくて依頼しているようです。

現地で出会った時に協力するかはお二人次第ですが対立はしないようにお願いします」


「了解じゃ。

因みにその専門家の情報をもらえるかの?」


「怪奇現象の解決を専門にしている花鳥風月という女性4人組だそうです」

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