八景島へ遊びに行こう 11
「今からはですね、こちらのステージでペンギンさんと触れ合えるイベントを開始します。
また、奥の方ではペンギンさんと触れ合ってから写真を撮れるコーナーもご用意しております。
写真はこちらで用意したカメラで撮り、こちらが指差しているあの部屋!
あちらで現像してお渡しすることになります。
また、この時にQRコードと番号をお渡ししますので、スマホからアクセスしていただいてダウンロードすることも出来ますので是非お写真の方もお願い致します」
「どうする?」
「折角じゃから写真を撮ってみぬか?」
「そうだね!」
飼育員のお姉さんの案内に2人は一瞬迷ったが、八景島に遊びにきた最後の記念ということで写真を撮る方を選択する。
同じように写真を選択した家族連れやカップルと一緒に並んでいく。
一方でペンギンを触るだけのコーナーでは皆が一列に並び、流れ作業のように触った人はステージから離脱という形式が取られていた。
「なんというか……アイドルの握手会みたいじゃない?」
「実際アイドルみたいなものじゃがな」
「それはそうなんだけど。
でも、今日は平日で人が少ないからいいけど、これが大人数になったらそのぐらい手早くやらないと終わらないのかもしれないね」
「あまり長引かせてペンギンのストレスになってもいかんからのう」
「次の方どうぞ〜」
ペンギンとの触れ合い体験の方を見ながら話しているうちに2人の番になっていたようだ。
慌てて撮影用ペンギンの方に行くとお姉さんが説明を始めた。
「先ずは触っていただく時間になります。
先程も説明した通りにクチバシが鋭くて危ないので、私が頭を押さえていますから背中を優しく触ってあげて下さい。
それとよく落とし物をしますので、あまり下の方に手を出さないようにお願いします。
なるべく私達で向けないようには気をつけますが、お尻側には近づかないようにして下さいね」
「は〜い!
あ、意外と柔らかい」
「本当じゃな。
もっと硬い感じを想像しておったが」
「さっきゴワゴワなカピバラを触ったお陰か余計に手触り良く感じるね」
「それでは次はお写真撮りますね。
ペンギンさんを間に挟むようにして……はい、チーズ!!」
こうして2人は八景島を去る前に1番の思い出となる写真を撮ることが出来たのだった。
もう一つ水族館のコーナーが残っていたが、そちらは時間が足りなかったのと内容が釣りをして釣った魚を食べるという食育がテーマだったので見送る事にした。
「向こうで散々食育は学んできたからね」
「こちらの世界ほど豊かではなかったからの」
こうして長い時間かけて楽しんだ八景島の水族館を出て行く2人。
帰りに大きな橋を渡って帰っていくのだが、そこで最後のサプライズが待っていた。
「のう、ユウよ。
あそこにある山……あれは富士山では無いか?」
「え?
あ、なんか見たことある形かも。
でも、こんな所から富士山って見えるのかな?
似た別の山かもしれないよ?」
「ちょっと待っておれ」
マオはそう言うとスマホを取り出して検索をかけてみた。
八景島 橋 富士山とワードを入れて調べるとすぐに結果が出てくる
「やはりあれは富士山のようじゃぞ」
「あ、そうなんだ。
うわ〜生で見るのは初めてだな」
「そうじゃな。
いつか一緒に近くまで見に行こうではないか」
「そうだね。
また休みをとって行こう」
こうして2人は富士山の写真を撮り沢山の思い出とお土産を持って帰路に着くのであった。




