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八景島へ遊びに行こう 10

「只今よりペンギンさん達のお散歩が始まります。

入口右手よりスタートしますので皆様ぜひ散歩の様子を楽しんでください」


イルカから解放されたユウ達の元に館内アナウンスが流れる。


「ちょうど良かったね」


「そうじゃな。

早速行ってみるとしよう」


アナウンスに従って2人が移動するとペンギン達が通る道を空けているお客さん達が見えた。


ユウとマオもそのラインの空いている所に位置取ってスマホを構える。


「お待たせしました。

只今よりペンギンさん達の行進が始まります……が最初に一言注意を。

ペンギンさん達が興味本位目で近づいて来ることがありますが、決して手を出さないようにして下さい。

見た目以上にクチバシが鋭いですからね。

それではペンギンさん達のお散歩が始まりますよ」


再び流れたアナウンスと共に飼育員のお姉さんと一緒にペンギンが数頭出てくる。


ヨチヨチと歩くその姿にユウ達だけでなく周りの大人や子供も思わず笑顔になった。


ペンギン達は気紛れに辺りを彷徨いており、中には大幅に遅れているマイペースな子もいる。


中には移動中に別の仕事をしているお気に入りの飼育員さんを見つけて、全く別方向に行こうとしているペンギンもいた。


そうしてゆっくりと進んでいくペンギン達であったが、ある地点でピタリと歩みを止めた。


それはステージに向かうための下りの階段だった。


「さぁ、ペンギンさん達はこの階段を降りることが出来るかな?

誰か1人が行ってくれれば後をついていくんですけどね」


飼育員さんの説明にマオは大きく頷く。


「ペンギンの習性で仲間と思ったものが先を歩いていくと思わずついて行ってしまうらしいのう」


「へぇ〜じゃあ、マオがペンギンの着ぐるみ着て歩いたらついてくるんじゃない?」


「それは無い……と言えないあたりが悔しいのう」


2人でそんな事を話している間に覚悟を決めた一頭が階段を降りる。


そのペンギンは勢いのままにゆっくりと確実に下に降りていった。


仲間のペンギン達もそれを見て後を追いかけるようにゆっくりと降りていく。


こうして全員が降りるのを見届けたのだが、ここで飼育員さん達から更なるイベントのアナウンスがされる。


「それでは今からステージにてペンギンさん達と触れ合いイベントを始めます。

皆さんどうぞステージの席にお座り下さい!」


「あれ?これって予約しないと見れない系のイベント?」


「いや、それらは全て埋まっておったしこれには予約必須と書かれておらんかったから誰でも観れるのではないか?」


「やっぱりそうだよね。

違ったらそう言うアナウンスがあると思うし……とりあえず座ろうか」


「そうじゃな。

折角じゃから座ろうかのう」


こうして2人は八景島で最後となるイベントに臨む事になった。

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