#田中家のスローライフ　2週目　３

「2日目〜だけど今回も作業しながらの雑談タイムかな？

リーブママ何か面白い話してよ」

「いきなり無茶振りやめーや！

でも……そうだなぁ。

この間ユウちゃんとマオちゃんがアーケードゲームやってたし、僕が若い頃のゲームセンターの話とかどうかね？」

・無茶振りwww

・古の時代のゲーセンか

「それはちょっと興味あるのじゃ」

「君たちの世代……特に三人はこっちに来てまだ数年ってところだろうから実感は無いだろうけど、昔のゲームセンターは危険で汚い場所だったんよ」

・大人達から近づくなって言われてたな

・トイレとか迂闊に使えなかったよね

「今は気軽にフラッと寄れますし、暗いところもありますが汚いということはありませんね」

「今はね。

でも、昔のゲームセンターは不良達の溜まり場で置いてあるゲームは格闘、麻雀、アクション、シューティング。

今みたいな音ゲーなんて無いしプリクラや大型筐体も無い。

街から嫌われる場所になってたんや」

・こわっ

・おっかねぇな

「えーっと……確認だけど、その麻雀ゲームって」

「もちろん脱衣麻雀やな。

これやる為に麻雀覚えたって子供も多いで」

・今は殆どないよね

・確かに脱衣麻雀やりたさで覚えてるやついたな

「リーブママもその口かの？」

「僕は家族麻雀で覚えたタイプやね」

「それじゃプレイはしてなかった？」

「成人向けの漫画描いてる人間がそこを通ってないわけないと言っておこう。

何なら脱衣するだけじゃなくて勝つと普通にAVの映像が流れる麻雀ゲームもあったな」

・それはそう

・そんな麻雀ゲームあったの？

「不良達がいて、そんな筐体が置いてあるのであれば確かにゲームセンターを子供に行かせるのは避けたいですね」

「更にアンダーグラウンドな世界な話をするとデパートやらにあるゲームセンターは一回１００円。

街のゲームセンターは一回５０円ってのが多かったんやけど、更に怪しい場所には１０円ゲーセンってのがあったんだよ」

・やすっ！

・１０円で一回プレイ出来るの？

「１０円！？

安すぎない？」

「もちろん１０円で遊べるのはかなり型が古いのだけやけど、最新ゲームでも一回３０円なんて設定だったんや。

そこでは目玉の対戦格闘ゲームが中央に置かれており、ほぼ対戦格闘専用として朝から晩までフル稼働よ」

・人集まりそうだな

・順番待ちエグそう

「それめっちゃトラブル起こりそう」

「そう…… 灰皿が飛び交いリアルファイトが行われる。

あ、そうそう。

どの筐体にも灰皿が置いてあって皆がスパスパ吸いながらプレイしてたから空気がめちゃくちゃ悪かったってエピソードも追加な」

・いま灰皿置いてるゲーセンなんて無いよね

・メダルゲームコーナーですら禁煙だよね

「地獄絵図みたいな場所じゃのう」

「それでもゲーム好きの子供達には魅力的な場所だったんだよ。

家にない色んなゲームが低価格で遊べた。

その状況で磨き上げられた一流プレイヤーのプレイを後ろで見るのが楽しかった。

大人達は顔を顰めるかもしれないけど、そこに通い続ける事で生まれる人付き合いもあった。

大袈裟でも何でもなく人生を学ぶ場所でもあったと僕は思ってるよ」

「危険は確かにあるのかもしれぬ。

しかし、親の手の届かない場所に自分や友達と遊びに行く。

これも冒険と言って良いのかもしれぬのう」

・危険もあるから冒険か

・そんな事があったのね

「そんな話をしていたらいつの間にか2日目も終わりそう」

「ママのお話楽しかったですからね」

「いいことが聞けて良かったのじゃ」

「喜んでもらえたなら良かったわ」

・面白かった

・何にでも歴史ってあるんだな