恐竜国取合戦 エピローグ
配信が終わって暫くの時間が経った後……ユウとマオは不思議な空間にいた。
ここはかつて2人が戦いの果てに辿り着いた場所によく似た空間。
2つの世界を繋いだルーナの力によって安定した世界を繋ぐ通路のような場所だ。
「あんな面白そうな事に私を誘わなかったのに利用する時だけ呼ぶのはどうかと思いますよ」
2人から少し離れた場所にいたルーナが拗ねた様子で言う。
「ごめんごめん、今度必ず埋め合わせするから。
こういう事は流石にルーナにしか頼めなくて」
「妾からも礼を言う」
「それなら今度高い方の焼肉でも奢ってもらいましょうか」
「ラ、ランチでいい?」
「仕方ないですので、それで手を打ちましょう。
それではごゆっくり楽しんでください。
終わったら呼んでくれれば戻しますので」
そう言ってルーナは空間に人が通れるほどの穴を開けて現代社会に戻っていった。
その様子を見ながらユウは手をギュッと握ったり屈伸したりと自身の身体の様子を確かめた。
「この空間でなら全力が出せそう」
「妾もじゃよ。
魔力が溢れる感覚は久しぶりじゃな」
いつの間にか大人の姿になったマオが答える。
「あっちの世界には魔力という概念が無いから仕方ないけどね。
ええっと……勇者の剣と鎧はこれかな。
こまめに整理しておいて良かったよ」
ユウはそう言って袋から装備を取り出して装着していく。
「妾の装備は魔法で作り出しておるから準備万端じゃよ」
「久しぶりだからちょっと待ってよ……体型は変わってない筈だけど」
「時間は幾らでもあるから急がんで良いぞ」
2人が何故こんなことをしているかというと、先程ゲームで行った戦いに当てられてしまったからである。
ゲームの中で散々争ったのだが、2人の中ではやはり作り物の世界の戦いでだった。
その為に中途半端に闘争本能が刺激された2人は悶々とした感情に悩まされていた。
そこでルーナの力で外に力が漏れない上に全力を出しても問題ない場所に連れてきてもらったのだ。
出会った頃と違い本気で殺し合うわけではない。
だが、お互いがこれ以上ないほどにお互いを知り尽くしている現在の方があの時よりも良い勝負が出来る気がしていた。
もちろんやり過ぎてしまったらどうしようかという不安もある。
だが、それ以上にワクワクする気持ちが止まらなかった。
「それじゃいくよ、マオ!」
「ユウよ、どこからでもかかってくるが良い!」
こうして2人はお互いに身体が動かなくなるまでぶつかり合った。
あまりに遅いので心配して様子を見にきたルーナが気絶して動かない……しかし、幸せそうに抱き合う彼女達を見つけて連れ帰り、2人の寝室に叩き込んだのはまた別の話であろう。
長くなったな夏休み長編シリーズもこれにておしまい。
お付き合い頂きありがとうございました。
もちろんこれで終わりではなく、明日からは通常配信に戻ります。




