恐竜国取合戦 決戦編5
二つの勢力が準備を進めている中で北乃修羅が治めるNNSも着実に準備を進めていた。
三國教授の指揮の元に復活地点を壁で囲み、更に一マス開けて壁を、もう一マス区切りで壁を……というマトリョーシカのような構造の建物が建築されていく。
「随分と変わった建築ですね?」
そう言って三國教授に語りかけたのは新人3人組の1人でゴーレム研究をしているという設定のモニカ・クライスであった。
「こうして一つ区切りで壁を建築する事で内部まで衝撃が及ばないようにしているのですよ。
重ねてしまうとまとめてダメージが入ってしまいますからね」
「なるほど……確か近代戦車の装甲も同じような作りをしていると聞いたことがありますね」
「おや、ご存知でしたか?」
「建築、兵器などの構造を学ぶこともゴーレム作りに役に立ちますから。
ところでバスが何処にいるか知りませんか?」
「バスさんなら彼方で試運転されてますよ」
「ああ……例の隠しきれない秘密兵器ですね」
そう言ってモニカが見上げた先には巨大という言葉では足りないほどに大きな何かが地響きを立てながら動いていた。
しかし、その動きはランダムではなく明らかに誰かに操縦されている。
そんな巨大な何かの背中には大きな鉄板があり、その上の端っこには1人の女性が手綱を握っていた。
メル、モニカと共にデビューした何処かの猫の神様という噂がある猫田バスである。
「あっはーーーーーー!!」
バスは巨大生物を操縦しながら楽しそうな笑い声をあげている。
こうして3つの勢力は確実に準備を進めて1時間が経過した。
♢ ♢ ♢
「それじゃ、行ってくるね」
「気をつけてのう」
決戦フェイズに移行したのをキッカケにユウはプランに乗って空に飛び立つ。
この戦いは決められた範囲内に拠点を築くというルールだが何処に建てるかというのはお互いに知らされていない。
その為に先ずは相手の拠点を調べる必要があった。
そこでユウはプランに乗って空に飛び立ったのだが……
「あそこ……絶対に誰かの拠点だよね?」
空に上がった瞬間に超巨大な何かが見えた。
プランに乗りながら望遠鏡で確認すると野生のものではなく背中に何かが乗っているのが分かった。
「緊急事態!
ティタノを使役してる勢力がいる!!
あそこは間違いなく基地だと思う」
そう……NNSが手に入れてバスが乗り回しているのはティターンの名を与えられたティタノサウルスであった。
もちろん、この異常事態に気付いたのは新生魔王軍だけではない。
♢ ♢ ♢
「大変ですよ、天先輩!
あそこにティタノサウルスがいます!!」
タペヤラに乗って偵察に出向こうとした姫花がすぐに戻ってきて天照子に伝える。
だが、天照子は慌てずに指示を飛ばす。
「何処の勢力か分からないけど、いきなり切り札を切ってきたという事よね?
それならば私達も奥の手の一つを出すわよ。
名付けて第一の爆弾、ショウタ君お許しください作戦発動よ!!」
勘のいい読者の方は一体どんな作戦なのか直ぐに分かると思います。
因みにティタノサウルスは12〜25メートル、重さは10tを超えていたと言われているので、本当に地球上にそんな生き物がいたのかと頭を抱えてしまうレベルですね。
それでもティタノを含む竜脚類では大きい方ではなかったという話も聞くので、恐竜は本当に面白いと思います。




