#三国教授の歴史授業 蕭何編 4
7/16 11:30 誤字報告受け付けました。
いつもありがとうございます。
「韓信を手に入れた劉邦は彼を大将軍として先ずは関中の地を取ります。
ここを蕭何に任せて進軍し、彼はこの関中で内政を行うのですね。
蕭何はこの地にて采配を奮って土地を豊かにし、軍備を拡大していきます。
この地から安定して送られてくる物資によって劉邦軍は道中で飢えることはなかったと言います」
「これはとても重要なことじゃな。
この時代、進軍すると物資というものは減り続けるのが常じゃった。
減った軍備をどう補充するかというと主に略奪じゃな。
道中にある村や町から物資を強制徴収し、タチが悪いと女達もその対象となっていた。
それを行えば軍備は賄えるであろうが怨みは残す。
しかし、蕭何のチートとも言える兵站を築く技術によって劉邦軍は略奪を行うことなく進軍することが出来たのじゃな」
・なるほど
・大軍を飢えさせないのは凄いな
「この時に役に立ったのが蕭何が都から持ち出した地図なのは明白でしょう。
この地図によって正確なルートを弾き出して兵站基地を作っていったのです。
現代と違い、兵站を前線に送るための主な手段は馬であり、馬には限界近くまで荷物を乗せている事から乗るのではなく引いて進んでいました。
つまり、前線に向かうまでに必要な日数が多く、道中の護衛や馬の食糧も運ばなければならなかったわけです。
ですが、各地の比較的安全な場所に兵站基地を作っておくとどうでしょうか?
例えば一ヶ月かかるルートを行くものが近くの基地に1日で移動を30回繰り返すのでは全く違います。
前者の場合、30日分の兵士と馬の食糧が必要であり、そんな物を乗せると積載量の殆どを使ってしまいます。
しかし、後者の場合は最悪基地で食べればいいので積載量を丸々軍備を載せることに使えますね。
他にも利点があるのですが皆さんは分かりますか?」
・なんだろう
・基地で休ませることが出来るとか?
「休ませるのも大事じゃが一番大事なのは安全じゃな。
一ヶ月もかかるルートでは当然野盗に警戒せねばならぬ。
さらに敵の遊軍が出る可能性もある。
しかし、基地に戦力を置いて各地を移動させるだけでもこれらの牽制になるじゃろう。
いざ襲ってこようものなら即座に知らせが入って挟み撃ちじゃろうな」
・なるほど
・確かに安全は大事か
・この時代は山賊がいるのか
「こうして劉邦に食糧と兵士を送り続けながらも関中の民を苦しめる事はなく、人々は彼を名宰相と呼びます。
現代の物流に照らし合わせると分かりますが、大量に商品が購入されるポイントがあり、そのポイントは日夜動き続けています。
そこにひたすら必要となる商品を生産して送り続け、時にはポイントの移動先を予見して先回りしてその場に送ることもしていたのです。
これを一切途絶える事なく何年間も行い続けたといえば彼の凄さが分かるのではないでしょうか?」
「劉邦が天下を取った後、彼は反乱や裏切りを恐れて疑心暗鬼になっておった。
劉邦が天下を取るのに貢献した韓信ですら処刑されてしもうたからのう。
しかし、漢という国の法律を整えながらも彼の疑心暗鬼を上手くかわして最後まで生きておったのも評価に値するのう」
・聞けば聞くほど凄いな
・紀元前にこんな人がいたってのが凄い
・今の時代と考え方は違うだろうからな
「コメントにもありますが我々は物流や正確な地図があるのでそこまで大変な事だとは思えないかもしれません。
しかし、輸送手段も乏しく、情報の伝達も遅いこの時代に現代の観点で物事を見て正確に物資を送り続けられるというのは正しくチートと呼ばれる能力だと言えるでしょう。
この時代の後にも様々な場面で兵站という概念とそれを維持する難しさを伝える話が出てきます。
例を挙げれば三国志で有名な関羽が負けた最大の理由は正に兵站を軽く見ていたからです。
漫画では兵站の基地兵士達が悪いように書かれていますが、これは完全に関羽の落ち度と私は思っています。
一度の負けで詰んでしまったのもこれが原因でしょう」
「逆に言えば兵站を維持できるのであれば劉邦のように何度負けても立ち上がることが出来るという事じゃな。
これは現代の個人でも応用できる考え方じゃよ。
仕事があって給料を確保でき、何かあった時のために貯蓄しておくと心の安定につながる。
これならば何かトラブルがあっても再び立ち上がることが出来るであろう」
「皆さんも今回の講義を活かして自分の人生の中の安定した兵站を築くと良いかもしれませんね。
それでは今日の講義は終わりましょう」
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