ユウマオ初めての旅行 福岡の夜編 2
「ここって何の店なの?」
「いわゆるスポーツバーという形式のお店ですね。
福岡は野球をはじめとしてスポーツも盛んなのでこういうお店は意外と多いんですよ」
3人は天神のメイン通りにあるとあるビルの地下に向かっていた。
明らかに怪しい雰囲気であるがミコの紹介という事で2人は特に警戒もせずについていく。
階段を降りると店の扉が現われ、3人はその扉をくぐる。
店内は明るい雰囲気であり、あちこちにモニターが設置されていてどの席に座ってもスポーツ映像が見れるようになっていた。
「マスター、お久しぶりです」
「いらっしゃい!
今日は綺麗どころが揃ってるじゃないか」
「ふふ、仕事の同僚兼お友達と言ったところでしょうか」
「今日は比較的空いてるから何処に座って貰ってもいいよ」
「じゃあ、あの奥の席に座らせてもらいますね」
ミコが示した席は奥の人から見られにくい席であった。
その壁には一際大きなモニターが野球の映像を映していた。
「それじゃ、最初にドリンク頼んじゃいましょうか。
私はカシスオレンジで」
「妾はキティを」
「僕は烏龍茶でいいや」
「はいよ!
すぐに作って持って行かせるからね」
マスターの言葉通りにウェイターの女性が直ぐにドリンクを運んでくる。
「それでは久しぶりの再会を祝して乾杯しましょう」
「うむ、それとミコ先輩案内お疲れ様じゃな」
「うんうん、本当にありがとう」
3人は『乾杯』と言ってコツンとグラスをぶつける。
「でも、ミコ先輩がこんな店に来てるなんて想像できなかったよ」
「あまりスポーツに興味なさそうじゃからのう」
「ここは簡易的なライブハウスになることもあるのですよ。
昔の友人がこちらで演奏しているのを観に来た結果ですかね」
「なるほどのう……福岡の夜じゃから屋台にでも行くのかと思っておったのじゃ」
「あ、僕もそれは思った」
福岡といえばあちこちにある屋台が有名であろうが、実は現地の人間ほど行かない傾向にある。
「屋台も美味しくないわけじゃないんですけど女性がお酒飲みには適してないんですよね」
「酔っ払いに絡まれるとか?」
「見知らぬ者同士が意気投合しているいめーじがあるかのう」
「そういう訳ではなくて……その、お手洗いが。
屋台には備え付けてありませんので、近くのビルで借りたり、最悪公園になってしまうのですよ」
ミコの言葉を聞いた2人は思わず顔を顰めた。
「確かにそれは嫌じゃな」
「備え付けてあるトイレがないのは確かに辛い」
「他にも衛生的で無かったりなど色々な理由はあるんですけど。
この店もそうですが、確り店舗を構えて値段が安くて美味しい店は沢山ありますので地元の人間が行くことは少ないですね」
「その話を聞くと行く勇気が無くなってくるのう」
「それよりもスポーツバーって初めて来たけど食事のメニュー盛りだくさんなんだね」
話が汚い方向にいっていたのでユウはメニュー見ながら強引に修正に入る。
「スポーツを熱く応援すると喉が渇きますしお腹もすきますからね。
バーとしてはかなりボリュームがあってがっつり食べれるメニューが多いですよ」
「なるほどね〜僕はパスタと皆でつまめる用に唐揚げとポテトのセット頼んどこうかな」
「妾はガパオライスにしてみようかの」
「私はピザを頂きますね。
注文お願いします!」
こうしてミコの案内を堪能した2人の、福岡初めての夜は大満足で過ぎていくのだった。




