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ユウマオ初めての旅行 2

「お二人とも久しぶりですね。

元気にしていましたか?」


車を運転しながら後部座席に乗ったユウとマオに語りかけるミコ。


「僕たちは変わらずに元気だよ!」


「ミコ先輩も変わらず元気そうで安心したのじゃ」


「ええ、お互いに変わりなくて本当に良かったです。

配信の画面では分からない部分があるかもしれませんからね」


配信を行っているVのアバターは表情を読み取る力はあれども顔色まで伺う機能はない。


声の僅かな変化で気付くこともあるかもしれないが、それも痩せ我慢などされてしまえば気付くのは難しい。


やはりこうして実際に会うことがお互いの無事を確かめ合う確実な手段なのだろう。


実際、ユウとマオは頻繁にくじよじの本社を訪れているが普通の配信者はここまで頻繁に来ることがない。


本社に来る用事が無いので未だに社長と直接面識を持ったことがない配信者もいるくらいだ。


では、何故こんなにユウとマオの2人が本社を訪れているかというと一重に2人のことを心配した里中の配慮の為である。


異世界では未知の病気に罹っていないか?


何か常識のズレは無いか?


そう言った事を確かめる為にこまめに会社に来て顔を見せる事を推奨していたのである。


幸い一年が経ちもう懸念事項もないだろうと思われる。


更にルーナ経由での神様達の加護もあるらしく健康面に関して心配することは無いだろう。


また、2人とも日本の文化に驚くほどの適応力を見せて生活面でも問題ない。


なので2人が本社に顔を出す理由は既にないのだが、一年間で習慣化してしまった事変えるのも至難の業である。


また、こう言った理由が無いと出歩かない時はとことん出歩かなさそうなのも2人が本社通いを止めない理由であった。


「折角なのでお昼はこちらで有名なラーメンの元祖にしましょうか」


ミコが車を運転して天神方面へと向かう。


ここは福岡で最も人の溢れる繁華街である。


多くの車が密集する中、慣れた手つきで運転するミコ。


「ミコ先輩って車の運転が出来たんだね」


「福岡は中々に栄えているのですが実は国鉄がカバーしている範囲は限りなく長く狭いのです。

そこで私鉄がそれをカバーするように運行しているのですが、ここも全て賄いきれていません。

細かい部分は私鉄の会社が運行するバスがあるのですが、そちらは複雑化している上にバスなので時間通りというわけに参りません。

なので福岡では車は割と必需品なのですよ……気合の入った方は自転車でカバーする人もいますけどね」


「へぇ〜そうなんだ」


「福岡は大都市じゃと思っておったから意外じゃの」


「栄えているところと栄えていない場所の差が激しいのですよ。

さ、着きましたよ。

ここが元祖の元祖ロングビーチラーメンです」


ミコがそう言ってラーメン屋の近くのコインパーキングに駐車する。


「元祖の元祖?」


「実はこのラーメン屋の元祖を名乗っている所って3軒あるんですよ。

観光に訪れる方も多く、よく元祖ロングビーチラーメンを尋ねる人がいるのですが、地元の人間は何処を知りたいのかで迷いますね」


「どうしてこうなったのじゃ?」


「簡単に言うと元々の元祖が引退して暖簾分けしたのですが、その二軒が自分達が元祖だと争いはじめたのです。

それを見かねた引退した元祖が再び始めたことで元祖を名乗るロングビーチラーメンが3軒出来てしまったそうですよ」


「なるほど〜それで、ここが引退した元祖のお店だから元祖の元祖ってこと?」


「そういう事です。

さぁ、参りましょう」


元祖問題はマジでややこしいです。

地元の人に元祖の店の場所を聞くと3店舗ありますが、何処の店舗の場所ですか?

と聞き返されます。

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