税金対策と馬のソシャゲ
きっかけは些細な事であった。
それは一年間を通した2人の稼ぎを見ていた里中社長の一言から始まった。
「貴方達ちゃんとお金使ってる?
しっかり使ってないと税金エグいわよ」
「え?そうなの?」
「……具体的にどのくらいかかるのじゃ」
その質問を受けた里中が数字を見ながら何となく浮かんだ言葉を口にする。
「全く使ってなかったら……半分くらいかしら」
「使わなきゃ!」
「何か使える部分がないか考えるのじゃ!」
そうしてパソコンを新調したりマイクやらの周辺機材を購入した結果、そこそこのお金は使えたのだが2人の収入からすると微々たるものであった。
かと言ってリスナーから受け取ったお金を配信外で使うのも憚れてしまう。
そこで2人が少しでも配信に活かそうと考えたのが他のVもよくやっているハマっているソシャゲのガチャ配信であった。
2人は現在大人気中の競馬のソシャゲにハマっていたが課金をするほどではなかった。
このゲームには育成する馬のガチャと、育成の手助けをするサポート馬のガチャがある。
最初は育成馬のガチャを回そうとしていたユウだったのだが、マオの理論を聞くに当たって育成馬のガチャを回すのが馬鹿らしくなったのだ。
曰く、育成馬のガチャは一回出れば平気なので長いスパンで1日1回限定のガチャを引くのが良いとの事である。
この1日1回限定のガチャは通常のガチャが1回300円に対して1回100円で引ける優れものだ。
更に同じ馬が出ることの利点はあるものの、それは通常プレイでもらえるアイテムで補うことが可能であるためにこちらを課金するのはお得ではないなというのがマオの弁であった。
一方のサポート馬ガチャは目当てのカード一枚出しても効果が薄く、最大で同一カードを5枚引かなければ効力を最大限発揮できない。
そして、このガチャの天井……200回引くと目当てのカートがサービスで貰える仕様と、200回如きでお目当てのカードが5枚来ることはほぼ無いと言うことからガチャを引くならサポートカード。
更に上記の育成馬と違い、こちらはガチャを引く以外に補える要素が一切ない。
その為にやるならば天井まで回してサービスを享受しろというのがマオの理論であった。
こうして我慢しながら毎日セコセコと石を貯めていた2人だったのだが、お金を使わなければいけない理由が出来てその枷が解かれてしまった。
しかも、時期が6月と言うことでお気に入りの馬と騎手が花嫁衣装を着ている限定ガチャが出ていた。
2人は我慢しながらも正直な所、心の中では思っていた。
この限定衣装欲しい……と。
いま封印の解かれた2人のガチャ配信が始まる!!
この世界特有のソシャゲなので育成では馬と一緒に騎手が出てきます。
決して皆さんが思い浮かべるゲームではありません。




