ユウとマオのデート 3
ランチを終えた二人はマオの提案による、とある品物を取り扱っている店にやってきた。
それは今マオがしているファッションを購入した店である。
どうせならばユウも面白おかしく着飾らせてしまえと言う魂胆だったのだが、ユウもマオにこのファッションを勧めた手前拒否することは出来なかった。
「店主よ、邪魔するぞ」
マオがそう言って店内に入る。
「その声はマオちゃ………はふぅ」
いち早くマオの声に気付いた店主は真っ直ぐに入り口に駆け寄り……マオの姿を見て気絶した。
「お邪魔しまーす……って、誰!?
なんで気絶してるの??」
「前もこのような感じじゃったから気にしなくて良いぞ。
脳の情報処理が追いつかなくてふりーずしているそうじゃ。
此奴はこの店の店主で天光を仰し堕天使カミュエルじゃそうじゃ」
「は?なんて??」
「覚えなくて良いからカミュちゃんと呼んでやれ」
色々と痛いカミュちゃんはその名に相応しいバンドのほうのV系……いわゆるビジュアル系の格好をしていた。
暫く待つとマオの言う通りにムクリと立ち上がる。
そして徐にマオの肩をガツっと掴んだ。
「マオちゃーーーーん、いらっしゃい!!
そして私の理想の姿で来てくれて本当にありがとう。
え?髪の色とかどうやってるの?
眼に眼帯までしちゃって私を悶え殺す気なの?
ええ、ええ本望ですとも。
さぁ、私を殺して見せなさい!!」
「うるさいのう……これでどうじゃ」
肩をガンガンと揺さぶられ、説明するのも面倒になったマオが眼帯を外す。
何か命令するような能力は無いただ金色なだけの瞳が露になった。
しかし、その瞳を見たカミュちゃんはピタッと動きを止める。
「え?金色の瞳?
でも、片方の瞳は赤色で……金と赤のオッドアイ?
銀髪のゴスロリ美少女が???
え?なに?ここは天国なの??
ふぅ……」
ひとしきりブツブツ呟いた後で電池が切れたように再び気絶するカミュちゃん。
「ねぇ?この人大丈夫なの?」
「後何回か繰り返せば慣れるじゃろうて」
マオの言葉通りに起きる→暴走する→気絶のプロセスを更に3回追加したところで、カミュちゃんはようやく気持ちの整理が出来たのであった。
♢ ♢ ♢
「大変お騒がせして申し訳ない。
私がこの店の店主のてん……」
「長いからカミュちゃんで良いぞ」
「分かった!よろしくね、カミュちゃん。
僕はユウだよ」
「自分の理想に冷たくあしらわれるのも良い……こちらこそよろしく頼むよ、ユウちゃん。
ところで今日はどのような用件だい?」
若干不気味なことを言っているがユウは気にしないことにした。
この短時間でカミュちゃんの扱い方を掴んだと言えるかもしれない。
「実は妾のこの格好に合わせたものをユウに用意したくてのう。
お主の力を借りたいのだ」
その言葉を聞いたカミュちゃんの目がキラリと光る。
「私のコーディネートに任せてくれるならば完璧なものを用意させてもらおう。
ユウちゃん、服を一式選んで持ってくるからそちらの更衣室で待っててもらって良いかな?
せっかくなら着飾った姿を見てマオちゃんをおどろかせようじゃないか」
「お、いいアイデアだね。
じゃあ、僕はそっちの方にいるから楽しみに待っててよ」
「うむ……カミュちゃんよ。
よろしく頼むぞ」




