ユウとマオのデート 1
「今日は何処に行くの?」
そんな月並みなセリフから始まった1日。
2人は夜に配信を行う予定であったが、日中は時間があったので遊びに外に出ることにした。
「折角じゃから偶には外で食事でもと思っての。
このレストランを予約しておいたのじゃ」
そう言ってマオが差し出したスマホの画面には高級そうなホテルレストランの写真が写っていた。
「なんか高そうだし格式もありそうだけど大丈夫?
ドレスコードとかマナーとかあるんじゃないの?」
「心配はせずともランチはビュフェ形式だからマナーもへったくれも無いのじゃ。
そんな食事処じゃからドレスコードも普通に服を着ておけばOKじゃな。
むしろ奇抜な服を着ている方が追い出されそうじゃ」
「そっか〜。
あ、でも偶にはスカート履こうかな」
今日のユウのファッションは半袖のシャツにパーカーを着て下は珍しくミニスカート。
そこにキャップを被りモコモコのムートンブーツを履いたコーディネートである。
「妾は折角じゃから貰ったこれを着てみようかの」
マオはゴシックロリータな黒のワンピースと首下や肩から手元まで白い長袖が一体化した服を選ぶ。
袖にはフリルと黒いリボン。
ワンピースも胸元やスカート下部にリボンが付いた可愛いデザインである。
そこに白いヘッドドレスとフリルの付いた黒い日傘を持つ。
更に足元はヒールがあり前方の紐と足首にあるベルトで固定するゴツいブーツを履いて完成である。
普段は日本人、もしくはハーフに見えるように魔力で黒色に染めた髪を銀髪に変える。
加えて眼も黒から赤に染め上げた。
アニメや漫画に出てくる完璧なゴスロリ少女がそこにはいた。
これで牙でも生えていたならば間違いなく本物の吸血鬼に見えるだろう。
そんなマオを見てユウはあるアイデアを思いつく。
「あっ、マオ!
これ付けてみてよ……それでそこは……こうして……うん!完璧!!」
最初は馬鹿なことをと思ったマオであったが、貰ったものを着なければという思いでここまで道化を演じることを選んだのだ。
その上で要望が増えようが大したことはない。
こうして外に出かけたのだが、2人はとにかく周りの視線を集めた。
片や健康的でボーイッシュな美少女。
片やゴスロリファッションで人形にしか見えない片目に眼帯をした美少女。
この2人が手を繋ぎながら歩いているのである。
目立たないはずがない。
しかし、2人は元は勇者と魔王。
人々からの視線には良くも悪くも慣れていた。
これだけ視線を集めれば妙な騒動に巻き込まれそうではあるが、そこは安全神話のある日本である。
視線を向けども特に何かすることもなく、その後の会話のネタになる程度だ。
また、ユウはともかくとしてマオは子供の姿でいる為にナンパしてくるような輩も現れない。
こうして2人は町中の視線を集めながらも特にトラブルもなく目的のホテルにたどり着いたのだった。
マオの格好はやり過ぎなくらいにこういうのが好きなんでしょ?を詰め込んでみました。




