映画感想女子会 1
「いや〜本当に初見でも楽しく見れて満足ですよ!」
映画の一本目を見終わった3人は、休憩がてらに近くのカフェへとやってきていた。
そこで大興奮な様子で語っているのは響子であった。
唯一この作品を未経験な響子であったが、この熱量通りに楽しむことができたようである。
「ちょっと心配だったけど、楽しく見れたようで良かったよ。
マオはどうだった?」
「原作の小説を分厚さを知っておるからこそ、よくも2時間でまとめ上げたものじゃと思ったな。
作品のまとまりとしては二重丸であろう」
「僕もそれは思ったね。
やっぱり入りきらなかった部分はあるけど、それは仕方ないんじゃないかな。
多分この辺りで批判が出てくるのは間違いないだろうけど……それでも、本当によくこの尺でまとめあげたって方が大きいよ」
今回映画で上映された話は、原作では1000ページにも及ぶ超大作な内容である。
それらを2時間でまとめあげたのであるから、やはり賞賛されるべきであろう。
原作勢からは物足りなさを感じるかもしれないが、アニメ勢はこれを機に原作を読む良いきっかけになる……そんな作品であるように感じられた。
「まぁ、私は何にも知らなかったので、途中からのネタバラシにはかなり驚きましたけどね」
「あ、やっぱり?
僕たちからしたら最初から分かってた事なんだけど、初見の人からしたら、途中まで主人公は英雄みたいな存在になってるはずだもんね」
「その反応が見たくて連れてきたところがあるからのう」
映画鑑賞中、物語の根幹のネタバラシをされるシーンが中盤にあるのだが、そこで響子は思わず声をあげそうになって慌てて口を塞いでいた。
そんな響子の様子を見て、ユウとマオは満足げに頷くという事があったのである。
「なんだかこれを観ていないのが勿体無い気がしてきましたね。
帰ったらアニメの方から見てみる事にします」
「うん、最初はそれがいいかもね。
原作小説は全部うちにあるから、気になったなら持っていっていいよ」
「本当ですか!
ありがとうございます!!」
「流石に16巻も一気に買い揃えるのは厳しいからのう。
アニメと映画の部分を合わせても14巻分はあるし……出費がのう」
小説というものは高いので、そんな数をいっぺんに購入するというのは中々現実的では無いだろう。
こうしてひとしきり感想を言い合って時間を調節した3人。
カフェを出て次の映画鑑賞へと向かっていったのであった。




