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新宿にて 3

2時間半後、舞台の全行程が終了する。


3人は惜しみない拍手を送り続け、未だ夢から醒めないような熱気のある空間に酔いしれていた。


程なくしてスタッフが列ごと、順番に退席を促していった。


混雑解消のためにこういった作業も必要になるのであろう。


ユウ達の席は後ろの方であった為に案内までの待ち時間が長く、その間に感想を語り合う時間が生まれていた。


「いや〜語彙力が無いから凄いっていう感想しか出てこないね」


「それも仕方ないものであろう。

映像とライブの違いもあるだうが、去年よりも明らかにパワーアップしておったからのう」


「私、先輩バンドのギターの人が好きになっちゃいました。

楽しそうに演奏してるのが印象的で目を惹かれますよね」


「あ、それめっちゃ分かる!

あの人ってお母さんの役も兼任している、一人二役なんだよね」


「確かお父さんの役の方も、先輩バンドがライブを行った場所のオネエオーナーを兼任しておるんじゃったよな」


「え、そうなんですか!

確かにお父さんとお母さんの役だけだと出番が少ないですもんね」


「でも、こんなにギター弾けるんだったら、去年はライブシーン無かったのは勿体無いよね」


「Q列の方、お待たせしました。

ゆっくりと出口へお進みください」


会話の途中でアナウンスが行われたため、ユウ達は他の客に倣って立ち上がり、ゆっくりと出口へ向かっていった。


途中でグッズ売り場も確認したのだが、かなり時間がかかりそうだったので、断念して下りのエスカレーターへと乗り込んだ。


その途中でSNSを眺めていたマオが、その中の投稿を一つ取り出して二人に見せる。


「どうやら去年まではギターは弾けなかったみたいじゃな。

あれはこの3ヶ月の練習の成果らしいのう」


「え、3ヶ月であそこまで上手くなれるものなんですか?」


「猛特訓したんだろうね……って言っても、役者としての練習も考えたら並大抵の努力じゃないだろうね」


「そう言えばライブだけじゃないんでしたね……この舞台を作り上げるまでにどれだけの労力があったかを考えると感慨深いです」


「それこそ原作に対する愛とリスペクトが無ければ成し得ぬ異形じゃろう。

昨今、問題になっておる実写化作品も、これくらいの熱量で挑めば今のように叩かれる事も無かったかもしれぬのう」


まだまだ感想の話が尽きない3人は、近くにある飲食店に入って続きを語り合うのであった。

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