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ダーツで遊ぼう 4

「こちら、景品のダーツです」


店員さんが事務所から運んできたのは、銀色に輝く小型のケースだった。


結局のところ、ユウは最初の方こそハウスダーツの軽さに苦戦していたのだが、ダーツの重心を掴んでからはイメージ通りの投擲が出来るようになり、後半はブルやダブルブルにダーツを叩き込んで500点を超えたのであった。


そんなユウであっても、余裕が出来てからチャレンジした、20点のトリプルは中々決められずに苦戦していたわけだが。


「やはり、その部分は難しいんじゃな」


「これは本能的なものかな。

どうしても真ん中が気になって狙っちゃうんだよね」


そんなことを言いながらも、20点の枠は外さずに当てていくユウを見て、店員のお姉さんも呆気に取られていた。


これは肘を立て、そこからブレずに真っ直ぐ、垂直に振り下ろして投擲するというダーツの基本が完璧に出来ている事の証だからであった。


(位置と向きが合っていてあの投げ方が出来るならば、風などの外部環境が無い限り縦のラインにいくのは道理…何だけど、そんなことが今初めてダーツをやり始めた子に可能なものなの!?)


理論上ではそうで合っても、目の前にいる女の子はプロでも何でもなく、正真正銘のど素人である。


にも関わらず、プロが見せてくれるような弛まぬ基礎訓練の成果と同等の物を見せられ驚愕する店員。


結局、500点と言うラインは簡単に超えてしまっていた為、景品であるマイダーツをゲットする事になったのであり、冒頭へと戻るのであった。


「へぇーこれがマイダーツってやつなんだ」


「景品なんでランクとしては最底辺のものなんですけどね。

ただ、本格的な物と比べれば軽量なので、ハウスダーツからのステップアップには最適だと思いますよ」


渡された箱の中身を確認すると、そこにはダーツが3本入っていた。


また、ダーツとは別にシンプルな赤い小さな板が3枚入っているのも分かる。


「この板って何に使うの?」


「それはダーツの後ろに付ける羽根の部分ですね。

このダーツは安いので一体型ですが、本来は胴体で3つのパーツ。

それにこのウイングの4パーツを組み替えることができるんですよ」


「へぇ〜面白そう。

ちょっとこれ使って勝負してみようよ。

お姉さん、何か面白い対戦ルールとか無いの?」


「それならばクリケットはどうでしょうか?

こちらは単純な腕前だけではなく、戦略性も大事な対戦ルールとですよ」



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