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ダーツで遊ぼう 3

「うーん、まだ置くスペースが残っているから、希望通りに一台は残しておくけど……これ以上集客出来ないようなら撤去することになるからね」


ゲームセンターの一角に残されたダーツ筐体。


昔は5台ほど並んで置かれてワイワイ騒がれていたこのスペースも、ゲームコーナーへの客離れが進んでからはプレイ人口も減っていき、次々と数が減らされていった。


ダーツ好きの自分としては何とか残して欲しいと店長に頼み込み、休みの日に自腹でプレイして稼がせる事で何とか残してもらっていたのだが、それも限界に近づいていた。


「そもそもだけど、お客自体が少なくなったわけじゃないんだよね。

みんなプライズ景品コーナーをウロウロした後に帰っちゃうだけで」


そう、彼女が呟く通りにゲームセンター自体の客足が落ちているわけではない。


現にアニメや漫画の流行のおかげで、ブライズコーナーの客入りは上々である。


問題はそのほかのコーナーの売り上げの激減である。


いまやアーケードゲームは家庭用に取って代わられ、対戦機能もオンラインが揃っている家庭用には敵わない。


何とか客を呼びこめているのは、カードを排出するタイプの大型筐体や音ゲー筐体のみである。


端に追いやられたダーツ筐体になど誰も目を向けたりはしないのであった。


「何とか……何とか客を呼び込む方法を考え無ければ……」


監視カメラで店内の様子を見ながらうんうんと唸っていると、問題のダーツに近づく女の子の二人組がいた。


手にはぬいぐるみを持っており、明らかにプライズコーナー目当てだったことが分かるのだが、そんなことは関係ない。


せっかく興味を持ってもらったのであれば全力でアシストするのみである。

 

こうして猛ダッシュで2人の元へと出向いた店員。


間近で2人の姿を見た店員はハッと息を呑む。


小学生ぐらいの女の子と、中学から高校生くらいの女の子の2人組なのだが、店員が見てきたお客の中でも5本の指に入るほどの容姿をしていたからである。


(この二人がハマってくれたら良い客寄せになりそう)


そう考えた店員はいつも以上……120%の力で二人を接客し始めた。


全てはこのフロアにダーツの筐体を残すため。


……その願いは後日、思わぬ形で叶えられることになるのであった。

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