2.5次元の誘い 1
「へぇ〜これって舞台とかやってるんだ」
ある日のこと、ユウがネットの海を彷徨っていると、オススメとして彼女が最近ハマっているガールズバンドの実写ショート動画が流れてきた。
しかし、それは実際には実写映像作品ではなく、舞台で役者さんが演じ上げている動画であった。
「確か2.5次元って言うんだっけ?」
二次元から三次元の中間のようなところに位置することから、アニメや漫画の舞台は2.5次元などと言われている。
その評判はピンキリであるが、興味を持ったユウはその動画を再生してみる。
そしてユウは……いつの間にか次の公演の日取りを調べ上げてチケットを購入していたのであった。
「それで妾も一緒にと」
「そうそう、絶対に楽しいから行こうよ」
「それにしても4枚も購入したとはのう」
「ほら、折角ならナコに解説してもらおうと思って」
「舞台なんじゃろ?」
ナコは音楽の知識が相当に深い為、この作品の解説を度々頼むことが多かった。
だが、マオの中では舞台というとステージの上で演技をし、ライブシーンでは音響を流しながら楽器をエア演奏する……そういうイメージがあったのであった。
だが、それは直ぐに間違いだと気付かされた。
「いや〜それがさ!
この舞台の音楽シーンって全部生演奏なんだよ!!」
「……は?
それはもう舞台ではなくライブでは無いのか?」
「あながち間違ってないかもね。
普通のライブのトークシーンが日常の演技パートみたいな?
まぁ、そっちがメインなんだけど」
「むむむ、ちょっと気になってきたでは無いか。
前回の公演を見ることは出来ぬのか?」
「ちょっと前に去年の分を無料公開してたけど、3日間限定だってらしくてもうやってないんだよね。
役者さんたちが舞台に向けてのトークショーをやってるのは聞けるけど」
「むぅ、それは残念じゃな」
本気でガッカリしたように肩を落とすマオであったが、その肩をユウがちょんちょんとつつく。
「なん……そ、それは!?」
「こんな事もあろうかと、ブルーレイ版を用意しております」
ユウが手に持っていたのは舞台版の公演を収録されたブルーレイ版のパッケージであった。
「そんなものまで発売されておったとはのう」
「折角だから一緒に見ようよ」
「うむ、ならば今回は妾が茶と菓子の用意をするとしよう。
ユウはディスクのセットを頼むぞ」
「あいあいさー」
こうして2人は見逃した配信ではなく、実際に販売されていたブルーレイで舞台公演を楽しむことにしたのであった。
配信を見逃した方も、映像作品としてDVD版とBlu-ray版が販売されて、そちらで観ることは可能です。
お値段以上の価値を保証しますよ。




