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マルチバースは失敗だった 3

「株主総会って何があったんですか?」


「簡単に言うと昨今の映画の不甲斐なさに投資家の1人がブチ切れたという話じゃな」


「あとはこのヒーローシリーズ作ってる……今はどうだったんだっけ?

当時は確かその作ってる会社の次期社長候補も、今のヒーロー映画はクソだってブチ切れてたよね」


「そ、そんなに何ですか?」


「数字で見たら大コケしたことは一目瞭然じゃからな。

それも一度や二度ではなく、普通に作れば普通に成功する大作すらコケさせておるからのう」


「投資家からすれば、利益を追い求めれるところで、妙な主義主張を入れたことでその利益を失ってるんだから、文句の一つも言いたくなると思うよ」


「そもそもが、投資家もその映画シリーズのファンだったパターン多いみたいじゃからな。

利益関係なく、自分の好きなものが汚されたと思う者も少なくなかったようじゃな」


ユウやマオが見せてくれたデータでは、最近作られた映画の制作費と興行収入が載っていたのだが、当初の好調はどこへやら。


時間が現在の2024年に近づくにつれて興行収入は激減。


2023年に至っては、公開した映画のほぼ全てが赤字という体たらくであった。


「この責任を取って2022年に社長……向こうの言い方ではCEOかな。

その人が辞めたんだよね」


「それで新しい社長が就任したんじゃが、実際にはこの人物こそが、この国際基準を採用した前々社長なんじゃよな。

辞めた前社長は、この現社長の路線を引き継いだだけの存在ということじゃな」


実は100周年を記念した映画も作られたのだが、世界中で批判を浴びるほどに大コケ。


日本ではそれなりウケたのだが、その理由が主人公ではなく、本来はヴィラン……悪役に対する共感と同情であった。


その独特の視点が世界で話題となり、悪役を主人公に、主人公を悪役として、悪に蹂躙されて敗北する悲劇のストーリーという、本来とは全く違う趣旨で再評価されることになったのはお笑い以外の何物でもないだろう。


「まぁ、この惨状をもたらした張本人ではあるんだけど、遂にこの路線は失敗だったと認めて、昔ながらの路線に戻ると宣言したわけなんだよ」


「え……ここまで悪評付いてて今更遅くありません?」


「まぁ、ここから良い物を作ればワンチャンはあるかもしれんがのう。

失った信頼を取り戻すには倍以上の時間がかかるだろうて」


こうして映画の感想を言う筈が、すっかり話が逸れていった3人。


結局、映画の感想を話し忘れていたのに気付いたのは、自宅前で別れて帰宅した後だったという事であった。

と言うことで、映画の感想会は次回からの雑談配信に回します。

因みにタイトルは映画内で実際にデップーが言ってたことです。

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