安さに警戒を 1
ある日の昼下がり、東京に戻って来た響子はユウマオの家の中で、スマホを見つめながら云々と唸っていた。
「どうしたのじゃ、一体」
そんな怪しさ満載の雰囲気を訝しんでマオが声をかける。
「色々とネットサーフィンしてたんですけど、こういう100%OFFします!みたいな広告が流れて来たんですよね。
それで、最近この通販サイトをよく見るなぁというのと、怪しさがすごいんだよなぁという気持ちが押し寄せて来た感じですかね」
響子が見せたスマホの画面ではルーレットが表示されており、既に回り終わったのか、100%OFFを指して止まっていた。
「そう言えば最近は確かによく見るのう……どれ、少し調べてやるとするかのう」
「こういうのはマオちゃんが詳しくて助かります。
調べるのも早いですからね」
「まぁ、任せておくが良いじゃろう」
「はい、飲み物とお茶菓子……って、どうしたの?」
手にお盆を持ったユウも現れたので経緯を説明する。
「ああ、なんかものすごく安いらしいけど怪しい噂は結構聞くね。
使えなくても安いからいいや!ってギャンブル的に頼んだら、使えないとかのレベルじゃ無い被害を受けたんだって」
「え……それってどういう……」
「大体分かったのじゃ!」
ユウの言葉に疑問を持って尋ね返しかけた時、マオがノートパソコンの前で宣言した。
「結論から先に言ってしまうのじゃが、絶対にやめておいた方が良いのう。
安かろう、悪かろうでは済まぬ被害を受ける可能性があるんじゃな」
そうして響子とユウの側にノートパソコンの画面を向けて、2人に見えるようにしたのであった。
「これって主な被害報告かな?」
「なんか、クレジット関連の被害が多いですね」
「うむ、簡単に説明するとクレジットカードのデータが抜かれて他人に使われたいう被害じゃな。
かなり高額な商品を買わされてしまったようであるな」
画面にはこのサイトを使って後悔した事と、三人が聞いたことのあるような、無いような人物たちへの恨み言が記されてあった。
「この恨み事って何ですか?」
「これは界隈では有名なインフルエンサー達じゃな。
このサイトが日本に入って来た頃に、様々なインフルエンサー達が勧める宣伝を行ったのじゃ。
それを信じて利用した結果がこの有様という訳じゃな」
「うへぇ……最終的には自業自得とは言え、これは恨み言の一つや二つは言いたくなるよね」
そこに書かれた罵詈雑言と、その勢いに比例するような被害額に呆れた表情を浮かべる3人であった。




