久しぶりの再会
ピンポンという音が鳴る。
ユウマオの部屋のインターホンが鳴った訳だが、これはマンションの外側ではなく内側……つまりは扉の前から鳴っている音であった。
もちろん都会に住む二人のマンションはオートロックであり、つまりはこのインターホンを鳴らしている自分はマンションの住人……二人がよく知る人物であるということに他ならない。
一応カメラを確認すると予想通りの人物がいたので、鍵を開き扉を開いて対応した。
「いらっしゃい。
なんか久しぶりな感じがするね」
「ちょっと訳あって暫く実家に戻っていたんですが、ようやく帰って来れましたよ」
笑顔で応えたのは、二人の隣人である折口響子であった。
最近姿が見えなかった彼女は、ユウとマオも連絡だけは受けていたのだが実家に帰郷していた。
それもただの里帰りではなく、何かのトラブルがあったとのことで慌てて戻っていったので、ユウマオの二人も詳しい事情は聞けていなかったのである。
「あ、これお土産です」
そう言ってテーブルに置かれた大量の品々は、定番のものから、響子の牧場で生産している物まで様々。
冷蔵が必要な物もあったので、とりあえずユウは受け取った品をしまう為にリビングを離れた。
「それで……もう実家の方は大丈夫なのかえ?」
「ええ、問題なく片付けてきましたから。
これからはオンラインでデータを送れるようにしてきたので、こちらの方で対応できると思います」
詳しく話を聞いてみると、響子から経理を引き継いだ新人がいたのだが、抜けた穴をカバー出来るほどでは無かったらしい。
何とかやってはいたのだが、遂に致命的なミスが起こって響子が戻らなくてはどうにもならないという状況になったそうなのだ。
その問題は上手く片付いたのだが、こういうことがまたあれば困るという事で、オンラインを通じて仕事をすることになったそうだ。
「なるほどのう……まぁ、いくらお金があるとはいえ、いつまでも無職のままというのも体裁が悪かったであろうからな。
ちょうど良かったのではないか?」
「そうですね。
ちょうどいい機会だったんだと思います」
詳しいトラブルの内容こそ話さなかったものの、響子の表情から、何の問題もなくトラブルが解決したことを感じ取ったマオは安堵の表情を浮かべた。
「なになに〜何の話?」
ちょうどそんな時にお土産を保管してきたユウが戻ってくる。
3人分のお茶を持ってきたユウを交えて再び先程と同じ話をしつつ、再開を喜び合う3人であった。




