黙ってた方が良かった人達 4
「さて、ここからは番外編というか……信者が黙っていたら良かったのにと思う話じゃな」
「あ〜本人じゃなくて応援していた人ってことね」
SNSが発展して、誰もが思うままに発信することが出来るようになった現代ならではの問題であろう。
「そういう事じゃな。
まず1番見苦しく、尚且つ勝者を乏しめる事で敗者をも乏しめる行為……それが不正選挙を訴える派じゃな」
「毎回毎回、よく出てくるよね」
「自分の信じている候補者が負けたので、そう思いたくなる気持ちは分からぬではないがのう。
じゃが、それは自身が応援していた候補者をも貶めてしまう愚かな行為ということに気付いた方が良いであろう」
「証拠があるなら別だけどね。
証拠が無い以上は、この陣営ってその程度の人間しかいないんだって思われちゃうね」
この手の人物たちは証拠は提示せず、結果だけを見てあり得ないという為にほぼ相手にされていない状態である。
「これに派生して現れたのが、当選した都知事をリコールする為に署名を集めよう派閥じゃ。
これだけの数の署名を集めればリコール出来ますと宣言しておるのじゃが……この発言の矛盾点は分かるかのう?」
「んん……これって、この人数の署名が集まるなら普通に当選するんじゃないの?
多分だけど、そこに住んでいる人しかリコール権は無いよね?」
「うむ、全国区で集めても意味は無いのう。
という事で、これも正に無駄か足掻きであり、そもそもの民意を反映していないと揶揄された訳じゃな」
「なんだか本当に余計なことをしている人達ばかりな気がするなぁ」
ユウの話す通りに、そもそもそれだけの賛同者が集まるのであれば、今回の勝利者の結果は覆されていたことであろう。
「これなんぞは正に理屈も通らぬ余計な主張であろうな。
何でも、今回の選挙結果は女性軽視の現れであり、女性を下に見ておる社会を示しているという主張じゃな」
「いや〜これは聞いた瞬間に無理があるでしょって思っちゃったよ。
だって、今回勝った人って女性でしょ?」
「その通りじゃよ。
女性が勝ったにも関わらず、自分が応援している女性候補者が負ければ、男女差別だと騒ぎ立てるのは滑稽を通り越して哀れにすら感じてしまうのう」
「自分たちが矛盾しているって分からないのかな?」
「分かっておったらこのような主張はしておらぬであろうよ。
このように、騒ぎ立てることで誰の目から見てもマイナスになるようなことをしておるから、黙っておった方が良かったということじゃな」
「こういう時何ていうんだっけ?
……ああ、そうそう!
キジも鳴かずば撃たれまいだ!!」
「鳴くことで自分の居場所を教えて撃たれてしまうという事じゃな。
正にその通りの話じゃて」
こうして、ユウの思い出した諺によって、このテーマの会話は締めくくられたのであった。




