黙ってた方が良かった人達 3
「最後に紹介するのはこの元候補者じゃな」
「あ、2位でも良い人じゃん」
マオが映した映像は、ちょうど仕分けしている時にその人物が2位じゃダメなのかと主張しているところであった。
「よく使われている映像じゃな。
まぁ、今回の選挙は3位だったわけじゃが。
この者に関しては本人と支持者の両方が、選挙後に暴れ回っている印象じゃな」
「どういう事?」
「先ずは本人なのじゃが、今回の選挙は選挙法に触れそうなグレーな事をやっており、選挙中も割と批判を浴びていたわけじゃよ」
「あ〜最近そういうのよく聞くよね。
候補中は逮捕できないから、終わった後に精算するとか聞いた気がする」
実際に別の選挙では、暴行まで働いておきながらも、選挙中は逮捕されず、終わってから逮捕された候補者いたのである。
「うむ、という事でかなりやりたい放題やっておったイメージじゃのう。
それでいて主義主張は基本的に相手を叩いて批判する事。
自身の政策は二の次で、対立候補の足を如何に引っ張るかに準じておったというのが妾の感想じゃな」
「うーん、未来をどうより良くしていきたいかの具体案が見えない人に投票しづらくない?」
「結局はそれが順位に表れておるんじゃ思う。
その後は、この問題行動を提起するようなコメントがSNSに散見しておったのじゃが、それを見て、私は攻撃されていると被害者を装っておったわけじゃな」
マオがパソコンを操作して画面を切り替えると、元候補者の様々な呟きが出てきたのだが、その大半が誰かを攻撃しているものか、自分は被害者だと訴えるものであった。
「それって結局自分がやってきたことのツケが回ってきただけって事だよね?」
「そういうことじゃな。
そもそも、この人物は元々が相手を批判してこき下ろす事を中心活動にしておった。
相手を下げるためなら人格否定などもやってのけるような人物じゃよ」
「そんな人がいざ自分が責められる立場になったら被害者顔してるのは余計に反感買うよね。
ほら、あの有名なアニメのセリフって皆んな好きじゃない?
撃っていいのは撃たれる覚悟がある者だけだってやつ」
「ああ、それも引用でかなり言われておったのう」
某ロボットアニメで使われた名言であるが、そこから教訓としてこの言葉を胸に留めている方は多いのでは無いだろうか?
「そうだろうね。
日本人ってこの言葉がとっても好きだけど、逆に言えばこれを守れない人は嫌いってことだもんね」
「そういう事じゃな。
こうして、この人物に批判が集まっておるのじゃが、著名人が少しでも批判すると、そのSNSに噛み付くようなコメントを残しておるのう」
「……暫くはスマホとかパソコンとかから離れてのんびりしてればいいのに。
こういう状況で暴れ回っても何一つとしてプラスになることは無いよね」
「妾もそう思うよ。
これも逆の話になるのじゃが、選挙終わってから沈黙を貫いておる者が相対的に評価が上がっているのも皮肉な話と言えるじゃろうな」




