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穏やかな日常

その日、いつも通りにユウ達の家に遊びにきていた響子。


全くもっていつものようにリビングでお茶を楽しみつつ、ユウマオの二人と談笑していたのだが……


「あれ?何か私って久しぶりにここに来たような気がしてきたんですけど……気のせいですよね」


「殆ど毎日来てるじゃん」


「全く、何を言っておるのやら」


「そ、そうですよね。

おかしいな〜ユウちゃん達に言われたら、そんな気分無くなっちゃいましたよ」


そう、響子の話す通りに彼女は1日に1回はユウマオと顔を合わしていた。


決して存在が忘れられていたわけでは無い。


「そう言えば、この間はお二人でライブハウスに行ってきたんでしたっけ?」


「知り合いに連れて行ってもらって実質4人だったけどね」


そう言いながら、ユウは親指だけを折って、手で4の数をを表した。


「何となくのイメージですけど、危なくは無いんですか?」


「妾が行けるような昼間のステージじゃったからのう。

出演者は学生ばかりで、お客さんも親御さんばかりという実にアットホームな感じじゃったぞ」


マオが小さな身体をアピールしながら言うと、響子は納得した様子で頷いた。


「へぇ……それなら私も行けそうですかね」


「なんじゃ、興味があるのか?」


「地元にはそんな場所無かったですからね。

一番近い都市規模の街まで行けばあると思うんですけど……近いと言っても車で3時間はかかりますから」


当時の距離感を思い出したらしい響子は、辟易とした表情でそう答えた。


やはり試される大地の距離感というのは、本州に住む人間とは全く違う物らしい。

 

「ライブでは無いですが、従業員が飼っている牛に対してギターを弾いているのを見たことがありましたね」


「……歌を聞かせて育てるってやつ?」


「いえ、当時見たテレビ番組で、七面鳥が盛り上がっている観客のようなレスポンスをくれるという話を放送していたんですよね」


「その影響というわけか……しかし、牛は答えてくれるのかのう?」


「いえ、全然。

それでもめげずに演奏した結果、冷え切った会場でも弾き続ける事ができるメンタルを手に入れてましたけどね」


当時のことを思い出してうんうんと頷く響子に対して、ユウマオの二人は呆れた表情を浮かべる。


「それって必要な物なの?」


「前座とかで重宝されていたらしいですよ」


「何事も使いようという事かの」


そんなくだらない話を交えつつ、その後はユウマオが行ったライブハウスの雰囲気など、その時の話で盛り上がる3人であった。

七面鳥の話は、「トリビア 七面鳥」で検索するとすぐに出てくるので、気になる方は視聴してみて下さい。

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