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ライブハウスへ行こう 5

「あ、因みにこのライブの主催はこのアイドルグループのマネジメントをしている会社っスね」


「それって芸能事務所みたいな感じ?」


「どうでしょうねぇ……ボーカルやダンスレッスンをするプロダクションが、生徒達を組ませて立ち上げた……程度の話ですから」


「ふむ……つまり、そのプロダクションからすれば、レッスン料の他にライブ費用、シャツ関連などのグッズ費用などを親から巻き上げている感じかの?」


「大きな声じゃ言えないっスけどね。

まぁ、一時期の青春と思い出込みなら安いもんじゃないっスか?

父親や母親が水商売や不倫でお金溶かすよりは健全っスよ」


「お主は時々、とてつもなく擦れた事を言うのう」


「あ、そう言えば気になってたんだよね。

ここに何回も来てる割には受付の人と初めましてみたいな反応だったなって」


それはライブハウスにやってきた時のやりとりであった。


何度も来ているのであれば受付の人と知り合いでもおかしくないのだが、ナコも八起子もそんな様子は見られなかったので気になっていたようである。


「それはお気づきの通りだと思いますよ。

このイベントはそのプロダクションが主催なんで、受付けもそこの人間っスね。

この店のスタッフじゃないっス」


店が主催の場合は入口のもぎりは店のスタッフが行うことが多い。


だが、店をレンタルしている場合は主催者が受付のもぎりを用意するのが通例である。


これは店側へのお金の支払いは既に終わっており、アーティスト並びにナコ達のような一見のお客から入ってくるお金は、主催者側の収入だからである。


お店の人が人数をチェックしてお金を計算して主催者に渡すというのは、手間でありトラブルの元となるので大半はこの形であろう。


「あれ?そう考えると今やってるアイドルグループがトリじゃなくていいの?

ライブってこの後もまだ続くんだよね」


「ああ、前半と後半の2回出てくるスケジュールだからいいんですよ。

そうしないと親御さんが最初から最後まで居てくれないかもしれないじゃないですか」


「どこまでも親頼みのライブなんじゃな」


「まぁ、こんな昼間っからやってるライブはこういう微妙なライブか、大勢のバンドマンを呼んでやるお祭りかぐらいっスよ。

今日は勿論前者っスけど、初心者が雰囲気を味わうなら丁度いいんじゃないっスか?

あ、そこの瓶ビール下さいっス」


瓶ビールは700円だったらしく、ナコはチケットに100円を二枚加えてドリンクに渡す。


「はーい、ご用意ありがとうございま……って、あああああ!!」


最初はカウンターに置かれたチケットと小銭を見ていた店員だが、顔を上げてナコの顔を見た瞬間に驚きで大声を上げたのであった。


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