ライブハウスへ行こう 4
「エレアコってのは分かったんだけど、それじゃアコギでライブとかって出れないの?
スピーカーとかに音は繋げないんだよね?」
「それはいま演奏しているカホンを見てもらうのが早いっスかね」
ナコの説明通りにカホンの方に注目する。
カホン自体から伸びている線は見当たらないのだが、よくよく観察すると、見えづらい後ろの方に何かが置いてあるのが分かった。
「あれは何を置いておるのじゃ?」
「マイクとスタンドですね。
カホンは箱の後ろ側に穴が開いていて、そこから音が出るんですよ。
だから、ああやって後ろにマイクを設置して音を拾うんです」
「つまり、アコギの場合はマイクを設置して音を拾ってスピーカーから出すってこと?」
「そういうことっす。
ギターの前に空いてる穴、サウンドホールから出る音を拾うんで、その前にマイクを設置するっス。
それをやる場合は、少しでもズレると音がおかしくなるんで、座ってギターの位置を固定して演奏することが殆どっスね」
マイクから音を取る場合、角度や距離といったものが少しズレただけで音は変わってしまう。
その為に座って演奏を行う必要があり、それでもズレは完全に消せない為に、ライブではエレアコを持つことが推奨されているのである。
そんな説明をされていたら2人の男の子たちの演奏をは終わりを迎える。
挨拶を終えて舞台を降りた彼らに変わって、今度は小学生から中学生くらいの女の子たちがステージへと上がった。
観客席の方では、親御さんたちがカメラを構え、自分たちの子供達へと声援を送っていた。
「ちょっと空気感が違うっスから、少し向こうに行くっスか」
「そうだね……流石にこの熱量の中は」
という事で、再び通路を通ってバーフロアの方へと移動した4人。
ライブが始まる前は分からなかったのだが、ステージの音はこちらにも流れており、更にいろんな場所に設置されているモニターからライブの映像がオンタイムで映し出されていた。
「こっちの方でもライブの様子は見れるんじゃな」
「落ち着いて見たい人はこっち側でいいと思いますよ」
「あの子達は一部がマイク持って歌って、後ろの子達は踊ってるんだね」
「カラオケみたいに音源を流してもらって歌うスタイルっスね。
略してオケって言い方をするんスよ」
「へぇ、そういうのもあるんだ」
「歌に自信はあるけど楽器はちょっと……っていう人も最近は増えてきてるっスからね。
そういう人は作詞・作曲から編曲までお金出して音源作ってもらったりするらいしいっスよ」
「まぁ、これならお手軽にやれそうだもんね」
「敷居が低いってことは、それだけライバルが多いって事ですけどね」




