ライブハウスに行こう 3
時間が来てイベントが始まったのでホール側へと移動する4人。
今回訪れたライブハウスは、入り口を抜けるとバーフロアになっており、イベントを行っているホールへは、そこにつながる大きな防音扉を潜っていく。
その先は短い通路になっており、ホール側の扉にも大きな防音の扉が置かれていた。
また、ここに荷物を置けるよう、ロッカーも設置されてあった。
「これはやはり音漏れ対策かのう?」
「そうっスね。
夜中にもイベントやるんで、なるべく外に音が漏れないように工夫されてるんスよ」
「ここは最上階なので天井はいいんですけど、下の階には音や振動が伝わらないように、防音・緩衝の素材がたっぷり敷き詰められてるそうですよ」
「へ〜やっぱりそういうのはしっかりしてるんだ。
因みにこの下の階は……」
「おしゃれなレストランなので、万が一にも音や振動が伝わると台無しですね。
ここはしっかりしているのでそういう事は無いそうですが、新規に建てたライブハウスが上下階と揉めるってのは割とある話だそうですよ」
ユウとマオの疑問に対しては、ナコと八起子のコンビネーションで解答してくれる。
それらの説明を聞いていると最初の出演者がステージに上がる。
彼らは片方は木製のギター……いわゆるアコースティックギターと呼ばれる物を抱えていた。
そして、もう1人は見慣れない四角の箱に跨っており、右斜め前方にシンバルを配置している。
「あの乗っておるのは楽器なのかえ?」
「あれはカホンって呼ばれる打楽器っスね。
路上ではドラムセットを持ち込めないんで、カホンを使う人が多いっスよ。
こういうアコギのライブならカホンの方が合うんで、今は普通のライブでもそれなりに見るっスね」
「アコギって言うんだっけ?
ああいう木製のギターでもケーブルを機械に繋いだりするんだね」
「今は最初からそういう機能が付いたアコースティックギターがありますからね。
元々付いていないものでも、後付けで改造する事も出来るんですよ」
「一万ぐらいのアコギで練習するなら付いてなくてもいいっスけどね。
それ以上の価格帯なら、最初から付いているエレアコの方をお勧めするっス」
因みにエレアコとはエレクトリック・アコースティック・ギターの略である。
八起子の話す通りにピックアップと呼ばれる装置を後付けで取り付ける事で、通常のアコギをエレアコに改造する事は可能である。
ただ、生のギター音とピックアップの音がイコールにならない事や、ギターに穴を開けるので価値そのものが下がるなどの問題点がある。
その為に、ナコの話す通りに最初からエレアコを買った方が良いという話になるのであった。
今回登場させているライブハウスの構造は、福岡時代に通わせてもらった場所を参考にさせてもらっています。




