ライブハウスへ行こう 2
4人がやってきたライブハウスは、ビルの上の方にあるらしく、エレベーターで上がっていく。
一般的なお店と同様に、エレベーターを乗り降りするフロアがあり、壁と扉を隔てた先に目的の場所があった。
ナコが先導して扉を開けると、中からそれなりに大きな音のBGMが聞こえてくる……が、これは現在演奏しているものではなく、店内にかかっている有線のようであった。
「4人分のチケットをお願いするっス」
「いらっしゃいませ。
本日はどのバンドを見にこられましたか?」
「ああ、今日は誰を見にきたとかは無いんスけど……それなら一番客が呼べてないバンドにでも付けてやってほしいっス」
「分かりました。
それでは本日のライブチケットとドリンクチケットです。
ライブチケットは再入場に必要です。
ドリンクチケットは500円までなら無料。
それ以上の場合は差額をお支払いしてもらうシステムです」
「りょーかいっス。
それじゃ、1人ずつ受け取ってください」
受付からチケットを受け取ったナコは、一人一人に2種類のチケットを配っていく。
それらを受け取って中に入った4人だが、先ずは客層に驚いた。
ナコの言う通りに、下は中学生くらいの子達が、上はその親御さんぐらいの年頃の人まで様々であった。
服装も、全員がナコのようなキメキメの格好をしているかと思ったのだが、どちらかというと休日の公園や遊園地のような装いである。
「あ〜言い忘れてましたが、ここいる人達って全員が客ってわけじゃないっスよ。
出演者も大体はこの場で待機してる事が多いっスからね」
「なんじゃ、そうなのか。
言われてみれば、あそこら辺の子供たちは全員がお揃いのコスチュームを着ておるのう」
「あれは駆け出しのアイドルグループですね。
事務所があるかどうかも怪しいレベルですけど」
「……あ〜、まぁ、何となく言いたいことは分かるかな」
小学生〜中学生ぐらいに見える女の子達が揃いの衣装を着ているわけだが、特にメイクをしているわけでも無く、揃いのコスチュームも何となく安っぽい。
そして、その子達をカメラ片手に見守る親御さん達の姿を見ると、学校の学芸会を思い起こさせるものであった。
「というか、八起子もそういうの詳しいんだ?」
「いろいろ勉強という事で、ナコに連れて行ってもらってますから」
そう言って胸を張る八起子の姿は、かつてはデビューした時にオドオドしていたとは思えないほどに自信に溢れていたのであった。
土日のお昼とかからやっているイベントもあり、この場合の出演者や客層は割と入りやすいイメージがあります。




