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巫女さんの土産話 2

「それってさぁ、危なくないの?」


「まぁ、どう考えても裏社会に人間ですからね。

最悪その辺りで何か揉めたら退魔協会に話を持っていきますよ……かかってきてたのはこっちの仕事用兼プライベートスマホではなく、退魔協会の仕事用スマホでしたし」


「そう言われれば、あの世界も裏社会の一端みたいなものであるか」


「その筋の組長さんからの依頼とかもそれなりにありますからね。

恨みを買う仕事してるわけですし、思い当たる節は沢山あるのでしょう。

……っと、話が逸れましたね。

ええっと……闇金の電話だったというところまで話しましたっけ?」


話が逸れた事で一旦元に戻そうと、どこまで話したかを確認する巫女。


その言葉にユウとマオが揃って頷く。


「そうそう、それでお金に困ってませんか?

当店なら審査無しで10万まで融通出来ますとか何とかそんな話だったんですよね」


「審査無しとか怪しさしか無い」


「その分利息も法律守るつもりは無いと言ってるようなもんじゃな」


「まぁ、そうでも無ければ闇金なんてやってないでしょうからね。

その後は話半分に適当にはいはい頷いていたんですよ」


巫女は適当に話を流していたのだが、貸したい相手からすれば話を聞いてもらえている時点で可能性大と判断したのであろう。


いつの間にやら10万円を既に用意しており、振り込むだけというところまで話しが進んでいたらしい。


「この辺りが限界かなと思ったので、やっぱり遠慮しますと断りを入れたんですが、そうしたら相手の方が豹変しましてね。

今更断れると思ってるのかだの、こっちは既にお金を用意しているだのとゴネてきたわけですよ」


「え?断れるんじゃ無いの?」


「そもそも電話での口頭のみで契約書も交わしておらぬのじゃろ?」


「その通りですよ。

ですから断った時点で諦めてくれたら良かったんですけど、段々と暴言……というか、悪口になってきましてね」


やれやれという感じで一度かぶりを振ってから、ユウの淹れたお茶を口に含む巫女。


「悪口って?」


「向こうからすると、私はお金に困って話を聞いているという印象だったのでしょうね。

そんなんだからお前はダメなんだみたいなことを言ってくるようになったので、流石にイラっとしたん言ってやったんですよ……今日の通話、最初から全部録音されていますよって」


「それは草というやつじゃな」


「それでどうなったの?」


「慌てて電話が切れてそれっきりでしたね。

その後は特に何もかかってきたりはしなかったですよ。

土産話としてはどうでしたか?」


「面白かったけど、あんまり危ない真似はしないようにね」


「まぁ、巫女さんのことじゃから安全マージンは確保してあるのじゃろうがな」


この後も安全な土産話などを聞きつつ、この日は平穏無事に過ぎていくのであった。

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