巫女さんの土産話 1
「はい、そういうわけでまた少しの期間お世話になりますね」
コラボカフェが開催中という事で、福岡から様子を見に来た巫女。
当然ながら東京にいる間に滞在するのは、ユウ達のマンションであった。
「いらっしゃい。
我が家だと思って遠慮なく寛いでよ」
「うむ、我が家の門は巫女さんには広く開かれておるからのう」
「その言い回しは主教っぽくて嫌ですね」
「いや、巫女さんの本業はそもそも宗教でしょうよ」
巫女の言葉に呆れたように返しながら、いつも通りに空けて整えておいた部屋に案内するユウ。
「あ、そうそう。
これは宿泊代も込めたお土産ですのでお納めください」
「うむ、ありがたく頂いておくとするかのう」
「これ、こっちの福岡アンテナショップでも置いてないからありがたいね」
巫女が持ってきたのは、博多西洋饅頭と呼ばれている、現地でしか売っていない博多土産であった。
ユウの話す通りに地方のアンテナショップでも手に入らないため、こうして頂く機会は非常にありがたいのである。
「まぁ、これでも足りないと思いますので、この間あった面白い土産話でもしておきましょうか」
「そこまで気を遣う必要もないのじゃが……まぁ、聞かせてもらえるならお願いしようかのう」
「僕は飲み物入れてくるね……あ、話は聞こえると思うから、そのまま語ってもらって大丈夫だよ」
「そうですか?
それでは……偶によく分からない電話番号から電話がかかってくる事あるじゃないですか」
「+の付いた海外ナンバーであったりは偶にあるのう。
基本、全て無視をしておるが」
「+の番号は流石に私も無視ですかね」
海外からの電話番号は基本的に出ても碌な事にならない。
ネットリテラシーの観点からもスルーが推奨されているので、+から始まる電話番号には注意してもらいたいものである。
「+の番号ではなく、知らない携帯の番号から電話がかかってきていたんでよね。
普段は無視するところなんですが、その日はかなり退屈していたので、少し遊んでみようかと出てみたら中々面白い結果になったというお話です」
「そういうのって、変な……闇金とかそういうイメージあるけど」
「おや、よく分かりましたね。
正にそういうところからの電話だったのですが、付き合って見たのですが……いやいや、ああいう人達はやはり頭のおかしいのだと思い知らされましたよ」




