ユウが配信しないゲーム
「おや……またそのシリーズのゲームをやっておったのか」
「まぁ、割と好きだからね」
ユウの部屋を覗くと、配信ではなくプライベートでゲームをやっているのが分かる。
マオは何となくやっているゲームに目を向けると、高難易度アクションRPG……死にゲーとして有名な作品をやっていたのだった。
「それは和風の世界観が特徴のものじゃな」
「これが世界観的に好きなんだよねぇ。
だから偶にやっちゃう」
そう語りながらも手の動きは止まらず、あっという間に敵を殲滅していく。
「ここまで上手いのであれば配信しても良かったのではないか?」
「あはは、それも考えんたんだけどね。
でも、最初からサクサク進んじゃうのもダメでしょ」
ユウは元々アクションゲームの適性が非常に強かった。
そのお陰もあってストレスなくゲーム実況を観れると評判であった。
「それならば雑談の時に使うのも良かったのではないか?
こうして話しておっても問題なさそうじゃからな」
マオの話す通りに、ユウは何でもないことのように敵の攻撃を弾いて崩し、確実にトドメを刺していく。
マオと話しながらこのプレイが出来るのであれば、雑談も難なくこなせそうである。
「ああ、それも考えたんだけど……やっぱりダメかなって。
ほら、僕がこういうゲームをやるのってチートに近いじゃん?」
「ああ、そういうことであったか」
実戦において相手の動きを見切り、打ち倒してきたユウにとって、タイミングさえ間違わずにコマンド入力すれば弾けるというのは児戯に等しい行為であった。
人間とはかけ離れた反射神経と動体視力、更に実践で養われた感覚……これらを持ったユウがこのゲームを配信するのは引け目を感じてしまったのであろう。
「雑談配信でも、その部分を切り抜かれて話題になっても困るしね。
こうしてプライベートで楽しめるから十分だよ」
「ならば、その表に出てこないレアな実況プレイを横で楽しませてもらうとするかのう」
「それはどうぞご自由に……あっ、ついでにコーヒーと何かお菓子を持ってきてくれると嬉しいかな」
「この間、響子から貰った物が残っておったはずじゃから、それを持ってくることにしようかの」
こうして椅子とコーヒーとお菓子……ついでに自分の分も持ってきたマオは、表には出てこないユウの実況プレイを楽しんだのであった。
因みに自分にも出来るのでは無いかとやってみたマオであるが、コントローラーの操作が覚束ない彼女は敢えなく全ロスとなったのであった。
ユウは配信しませんが、私の推しであるニュイさんがSEKIROを始めており、アクション赤ちゃんと言いながら超絶プレイでサクサク進めており、かなりオススメです。




