幻のゲーム
本日はユウとマオの2人でお出かけをしていた。
昼の気温も上がり、もうそろそろ桜も見頃という事で外を散策していたのだが、何となく中古のゲームでも見てみようという話になり、偶々見かけたリサイクルショップに入っていったのだった……まさか、とんでもない代物を見つける事になるとは思わずに。
「うーん、そんなに目に付くものはないね」
「昔のゲームも大半は移植されて普通にプレイ出来てしまうからのう。
それに探し物であるならば通販の方がよほど見つかるであろうしな」
やはりというか何というか、掘り出し物というのはそう簡単には見つからない。
ましてや、2人は何か目的があったわけではなく、何か面白いものがあればというくらいで入店したのだ。
そんな状況でその分からない何かが見つかる事など殆どないだろう……よほどの豪運の持ち主でなければ。
店内のほぼ全てを回って残すはレジの近くのみ。
そんな状況で2人はとあるゲームソフトを見つけてしまった。
「ね、ねぇ……もしかしてこれって……」
「いや、そうでなければこの値段の説明が付かぬであろう」
それは箱も何も無い、カセットのみのゲームソフトで合った。
有名な外国人の元プロサッカー選手の名前が冠せられたサッカーゲームであり、一部の界隈では別の意味で有名なソフトである。
通常であれば500円程度の価値だと言われているこのゲームだが、その店での値段設定は強気の7980円。
更に品物の注意書きには通常のゲームソフトとは異なると表示されている。
「あ、あの……これって……」
「おや、女性でそれに興味を持つとは珍しいね。
詳しい事は話せないんだけど、動作確認したら違うゲームが出てきちゃうんだよね。
問題なく遊べるからその値段だね」
店員に尋ねると内容については言葉を濁しながらも、最大限答えれる事は教えてくれたことが分かった2人。
即金で購入し、家に帰った2人は早速とある人物に連絡を取る事にした。
「え、あの幻のゲームが手に入ったんですか?」
「うん、起動してないから多分だけどね。
それで巫女さんが欲しいかなって思って即買いしてきちゃった」
「もちろん欲しいです!」
電話の相手はついこの間、地元の福岡へと帰っていった巫女であった。
彼女であればこのゲームの中身を欲しがるのではと思ったのだが、2人の予想は大当たりだったようである。
こうして送ったソフトであるが、後日にそのシリーズの中でも幻と言われる物であった事が判明。
過剰なお礼をしようとする巫女を宥めながら、2人が好きな時にコラボの手伝いをするという話で落ち着いたのであった。
ゲームソフトの表紙はサッカーゲームです。




