エイプリフールがやってきた
「なるほど、そう来たのね」
昼下がり、ユウがリビングでスマホを見ながらぶつぶつと呟いていた。
その様子を見て興味を深めたのは、今日も遊びに来ていた響子であった。
「何を見てるんですか?」
「エイプリルフールだったから、どんなネタがあるのかなって思って調べてたんだよね」
「そんなにいろんなネタがあるんですか?」
「これとか面白いよ」
そう言ってユウが見せた画面には、先日一クールの放送を勢いで押し切ったロボットアニメが映っていた。
その中では昔のテレビショッピング番組のように、フライパンを宣伝しながら、今だけどお値段が半額だとか、今買えば同じフライパンが更に2個付いてくるなどの宣伝をしていたのである。
「これってエイプリルフールの嘘なんですよね?
割と作り込まれていますけど」
「いや〜流石にコラボ商品だとしてもフライパンは意味が分からないでしょ。
値段も3個で4万円はちょっと高すぎるし」
「そもそもフライパンを3個はいりませんよね」
「フライパンの利点も誰でも炒飯がパラパラに作れるじゃねぇ……これ買うなら冷凍食品の炒飯でいいよ」
「それもそうですね。
他には何がありますか?」
響子の問いに待ってましたと言わんばかりに、既に検索していた画面を見せる。
「これもアニメの話なんだけど、アニメの中でホテルを建てるって話で終わってたのが実際に建ちましたって感じの嘘だね。
キーワードを言えば1000円安くなる辺りがリアル感があるよね」
こちらもユウが話す通りに先日一クールの放送を終えたばかりの、お色気バトル系作品のエイプリルフールネタであった。
「流石にこれは嘘だとすぐに分かりますね」
「逆に元々アニメ化大丈夫なのか?って言われてたアニメが、このタイミングでアニメ化中止しましたってのは嘘なのか本当なのかどっちだよ!ってツッコミ来てるね」
「微妙なラインを突いてきますね……アニメ化中止の理由が全部アウトなシーンだったからは、作る前から分かっているでしょうからエイプリルフールネタだと思いますけど」
「タイミング的に流石に嘘だと思うけどね。
響子さんが見ているコンテンツでもエイプリルフールのネタがあるかもしれないが、帰ったら確認してみなよ」
「そうですね!」
こうして帰宅し、スマホを確認した響子は直ぐに机に突っ伏す事になってしまう。
彼女のスマホの画面には純白のウエディングドレスを着て満面の笑みを浮かべたユウとマオのイラストが映し出されている。
結婚しましたと言う文字と#エイプリフールというタグと共に。




