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特別なバットが欲しい 2

「付喪神って言うと……あの長く使い続けた物に宿るっていうやつ?」


「そうそう、この子の場合は僕の霊力を直接流し込まれ続けた結果らしいけどね。

そのお陰で更に霊力が通りやすくなって耐久力も上がったって訳」


「なるほどのう……ふむ。

頑丈になった原因は付喪神の方ではなく、流し込む霊力の方なのじゃな?」


「え、ああ、そこまで深く考えてなかったけど……確かに霊力の方かな。

付喪神の力で底上げはされてる筈だけど」


風の話を聞いたマオは暫く考え込むのだが、何かを閃いたのか、顔をユウの方へと向ける。


「上手くいくかもしれぬぞ!」


「つまりどういうことだってば?」


「お主のカバンから適当な剣を借りるぞ」


マオはそう言っで鞄をゴソゴソと漁ると、中から銅で出来た剣を取り出した。


「あ、それ宝箱から出てきたけど使えないから鞄の中に入れて2度と出さなかったやつ……」


「僕からしたら格好良く見えるけど……そんなに使えないの?」


「赤い刀身を見るに青銅ですら無いからのう。

金属としては心許なく、切れ味もないので叩き潰すように使うのが良いじゃろうが……それならハンマーでも持った方がマシじゃな」


「へぇ……そうなんだ」


「それで、そんな物でどうするの?」


「まぁ見ておれ」


そう言ってマオは魔力により人型の何かを作り出す。


これはこの場でのトレーニングに用いている、彼女達がダミーと呼んでいるものである。


設定によってある程度の自立が可能な他、マオの意識で動かせるなど訓練に程よい刺激を与える存在である。


そんなダミーを一体出現させたマオだったのだが、徐に手に持った銅の剣で斬りつける。


刃はダミーの身体を安易と切り裂き、その姿は霧散していく。


「え?銅の剣で切れちゃうんだ……今の耐久ってどれくらい?」


「鉄と同等じゃな」


「それ、剣の方が折れないとおかしくない?」


「普通ならのう。

じゃが、さっきの風の話を思い出してよ。

そして、霊力とは魔力とほぼ同じ力……ならば同じことが出来るのではないかと思った結果じゃな」


そう、マオは風と同じように自身の魔力を銅の剣に込めることで強化したのである。


「ああ、なるほど。

じゃあ、僕も失礼してっと」


「ほれ、ダミーならば出してやろう」


ユウも同じように銅の剣を取り出すと、それに合わせてマオがダミーを出現させる。


「うーん、こんな感じかな?

いっけえええええ!!」


ユウは与えられたイメージの通りに剣を持ち、振りかざす。


その一撃はマオと同じように、だが甲高い音を上げながら安易とダミーを切り裂き……刃の先の方が風の方へと飛んでいった。


「え、うわ、やば!?」


風は慌ててバットを振りぬくと、そこから大きな旋風が巻きおこり、飛んでいった刃を弾き返していった。


そのまま刃は見えないところまで飛んでいったのだが……


「え?どういう事?」


後には折れた剣を持って呆然とするユウが取り残されているのであった。

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