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西が東で、東が西で

プラネタリウムから出てきた2人だが、ユウの顔には不満の色が混じっていた。


「うーん、前半は良かったんだけど……後半はどうなの?」


「私はそれなりに楽しめましたけど。

後半というと、トレーラーが入った後のことですよね?」


プログラムの前半では、ゲームの人気キャラと街の中を回りながら、その世界の星と神について解説するという内容であった。


キャラの個性もよく出ている上に世界観の深掘りもされ、更に最近増えたコンテンツで明かされた情報なども交えた良い内容だったと言える。


そこで一旦スタッフロールが流れるものの、直ぐに今年の夏に発表予定である新バージョンのトレーラーが流れる。


これ自体は既に公開されている内容であるが、プラネタリウムの大きなスクリーンを見上げながら観るトレーラーの迫力は、今はゲームを休止している巫女に復帰しようかと思わせるワクワクさを提供してくれた。


しかし、ユウが問題にしているのはその後の後半戦の事であった。


「ファンタジー世界の人が地球とその星の事を語り始めちゃダメでしょ。

あの世界に迷い込んだ地球人から聞き齧った話にしては、やたらと詳し過ぎるし」


「まぁ、確かにそうですね。

地球の星々の話なんて他のプログラムで聴けますから。

もう少しあの世界の事について掘り下げてほしかった気はしますね」


トレーラーが終わってからの後半戦では、ナレーションを務めるキャラクターが、地球からこの世界に迷い込んだ人から聞いた話として、地球の星々の話を始めた。


その中でゲーム世界と地球の共通点を挙げていくのだったが……


「そりゃ、この世界に設定はある程度似てきちゃうでしょうよね


「創作とはいえ無から産み出すのは至難の業ですからね」


こうして少しの不満を抱えたものの、概ね満足した2人。


「この後は予約している店に行くんだけど、僕も初めて行くところなんだよね。

だから、スマホを見ながら……っと、こっちこっち」


「人が多いから逸れないようにするのが大変ですね」


流石に池袋は人通りが激しく、至る所に人の流れが出来ている。


時にその流れに乗り、時にはその流れを避けながら掻い潜ってやってきたのは西口にあるデパートであった。


「ここ、ここ。

西口なのにデパートの名前は東で覚えてだのがあって良かったよ」


「……なんかややこしいですね」


「東口にあるデパートの名前は西だから」


「尚更ややこしいですね」


「まぁまぁ、気にせずに。

この上の方にレストランフロアがあるから、そこまで行こう!」


こうしてユウに案内されて連れられた先、そこには巫女の見知った顔が待っていたのであった。


一体どこの元魔王なんだ?

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