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巫女さんがやってきた アフター

「そう言えば巫女さんって退魔士の仕事してるって割には超常現象とか信じないって言ってたよね」


テーブルの料理も片付き、ユウはソフトドリンクに。


マオと巫女は其々に好きなお酒を頼んではゆっくりと飲んでいた頃に、ふとユウが切り出した。


「そうですね。

家業として継いでいるので仕方なくこの仕事をしていますが、霊感は全く無いので」


「そうは言うが妾達と出向いたせいで色々とあったであろう。

少しは考え方も変わったのでは無いか?」


巫女は普段は指示を出す側で現場に赴くことは無いのだが、ユウとマオに依頼を頼んだ時には責任者として共に出向くこともあった。


特に雪女の里の案件では2回もの超常現象に巻き込まれているため、流石に考えが変わったのかと思ったのである。、


「いえ、特には変わってないですかね」


「ネコリとかの雪女に会ったのに?」


「少し誤解を招く言い方をしたかもしれませんね。

私は幽霊やらの超常現象を信じていませんが、それを否定する気もないんですよ。

世の中は目に見えていることだけではありませんから」


「確かに思い返してみれば、巫女先輩は妾達の存在も否定はしなかったのう」


お猪口に入った熱燗をグイッと一飲みしてから、ふとマオは思い出した。


そもそもが異世界の勇者と魔王という、この世界ではあり得ないはずの存在を巫女は否定していなかったという事に。


「矛盾しているかもしれませんが、私は目に映ったものしか信じません。

しかし、目に映らない事であれば何が起こってもおかしくないと思ってはいます。

ひょっとしたらそれらは将来的に科学で証明される事になるかもしれませんしね」


「つまり……どういうこと?」


「大昔、病気の原因は鬼が齎す災いだと信じられていましたが、現代であればウイルスであったり、体内の不調や栄養不足など、原因が特定されています。

それと同じように幽霊や妖怪の存在も科学で証明されるかもしれません。

それは異世界だったり神様でも同様です。

その可能性がある以上、私は見えない物を安易に信じて決めつけたりはしないという事ですね」


「あっはっはっ……お主は本当に良い女じゃな。

ユウが居らねば手の一つや二つは出しておったかもしれぬのう」


「それを言うなら僕だって。

その考えは本当に素敵だと思うよ」


そう言って2人がススっと近づこうとするのを巫女は手で止める。


「ふふ、それはご遠慮させてもらいますね。

私は見るのが楽しいのであって、当事者になりたいわけではありませんから」 


「ちぇっ、残念」


「揶揄いのあしらい方まで完璧とは恐れ入ったのじゃ」


こうして、話は更に盛り上がり、夜も更けてきたところで3人は帰宅したのであった。

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