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巫女さんがやってきた 4

「はーい、それじゃ用意しますね。

ちょっと中央失礼します」


バイトがそう言ってカセットコンロを配置し、その上に野菜盛り盛りの鍋をセットする。


そうしてカセットコンロに火をつけて去っていったのだが、ユウとマオは同時に鍋の中を覗き見た。


鍋の中にはニラやキャベツといった野菜とニンニクチップ、輪切りになった唐辛子が入っているのが分かる。


また、その中にはブヨブヨとした肉の塊が入ってるのも確認できた。


「これってモツ鍋?」


「そうですよ。

福岡の名物ですね」


「ほほう、これは美味しそうじゃな」


「野菜のボリュームがすごいね」


ユウが話す通りにモツ鍋の野菜は溢れんばかりに入っていた。


「前に話した気もしますが、モツ鍋のメインはモツでは無く野菜ですからね。

出汁取りの意味合いの方が強いので、モツが苦手なら野菜だけでも美味しく頂けますよ」


「あ、僕は何でも食べれるから大丈夫」


「妾も平気じゃな」


こうして3人で取り分け、取り皿の中の物をペロリと平らげた後にスープにも口をつける。


「はぁ……濃厚なのに優しい味だね」


「スープだけで美味いのも凄いのう」


「今回は福岡でもお馴染みの醤油ベースの物を頼みましたが、味噌味なんかもあるのでチャレンジしてみるといいですよ」


「失礼しまーす」


こうして3人が美味しいお鍋に満足しているところに、またも店員がやってくる。


「こちら山芋の鉄板ステーキ3人前ですね。

熱いのでお気をつけください」


3人の前にはジュージューという熱を伝える音を立てた鉄板が置かれ、その中には肉の塊……では無く、山芋が敷き詰められていた。


「これも福岡ではよく食べられる物ですね。

美味しい上にヘルシーですよ」


「こんなの絶対美味しいに決まってるじゃん」


「うむ……そして、すべての食べ物が酒に合うというのは何なのじゃ?

福岡は酒飲みの土地なのか?」


「お酒に強い人は多い気がしますね。

バーや居酒屋の数も東京に負けてない気がしますし……そう考えると酒飲みの街なのかもしれませんね」


「まぁ、そういう考察は後にして今は食べることに集中しようよ。

これは冷めちゃうと勿体無いよ」


「ユウの話す通りじゃな。

冷めぬうちに頂くとするかのう」


「火傷しないように気をつけて……というのは元勇者と魔王に対しては要らぬお節介でしたね」


こうして巫女の歓迎会は、彼女のオススメを食べることにより大いに盛り上がりを見せるのである。

山芋の鉄板ステーキは東京では食べられないかもしれませんが、創作の話なのでお許しください。

モツ鍋は居酒屋から専門店まで広く普及しています。

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