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巫女さんがやってきた 3

「お刺身、お待たせしました!!」


バイトの女の子が持ってきた刺身盛りには、マグロや鯛など魚が五点盛りとなっているものであった。


それに加えて生の赤身肉と脂身の塊のような物が乗った刺身もテーブルの上に置かれた。


「これって馬刺しだよね?」


「そうですね。

熊本の名産品ですが、福岡などでも普通に食べる事が出来ますよ。

何なら一度本場に食べに行ったら場所が悪かったんでしょうけど、普段福岡で食べてるお店の方が美味しかったなんて事もありましたしね」


巫女の説明を聞きながら、マオは脂身を箸でヒョイと掴んだ。


「これは一体何なのじゃ?」


「それはタテガミと呼ばれる部位ですね。

その名前の通りに立て髪が生えている部分……つまり首の後ろ側です。

一頭から少ししか取れない希少な部位なんですよ」 


「ほほう……うむ……コリコリしておるが、口の中で脂が溶けるようじゃな。

これは酒のつまみにちょうど良いわ」


「……なんか福岡って牛の横隔膜とか、馬のタテガミとか変わった部分が出てくるね」


「言われてみればそうですね。

まぁ、サガリはタテガミと違ってクセが無くて美味しいですよ」


「焼き鳥お待たせしました!」


再び現れたバイトの女の子は、手に大きな皿を持っていた。


そこにはキャベツが敷き詰められており、その上に頼んだ焼き鳥串が乗っていた。


「あら、流石は九州の居酒屋を名乗るだけあって焼き鳥はキャベツと一緒にやってくるんですね」


「最初に福岡に行った時は驚いたけどね。

このタレに使ったキャベツが美味しいんだ」


「うむ、これは実に良い味がするのう。

箸休めにも丁度良いわ」


「タレだけ売っているところもあるくらいですからね。

後はさっき話してた豚バラや四つ身も頼んでおきましたよ」


巫女は何でもないことのように説明したのだが、2人の頭には疑問符が浮かんでいた。


「よつ……み……?」


「初めて聞いたのう」


「あれ、四つ身ってこっちだけの言い方なんですかね?

焼き鳥のもも肉の事ですよ。

福岡ではタレで食べるのが一般的ですね」


「むむむ、そうじゃったのか。

……うむ、確かに美味いのう」


「サガリもオススメだけあって美味しいよ」


「合間にキャベツを食べると、脂分を分解してくれて胃もたれ防止になりますからね。

あ、それとお二人にはもう二つほど福岡自慢の名産品を食べてもらいましょうか」


美味しい刺身と焼き鳥に舌鼓を打つ2人であったが、巫女はここで更なる追撃を行うことを決めたのであった。


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